経営の健全性・効率性について
(1)健全性について経常収支比率及び経費回収率が100%未満であり、累積欠損金も発生しているため、単体で見ると健全とは言えない状況が続いています。また、経費回収率は59.6%であるのに対し、経常収支比率が93.5%と一般会計に依存していることがわかります。一方で、流動比率は200%を超える水準であり、短期的な返済能力を有していると考えられます。このように、個別排水処理事業は単体では経営効率が低くなっていますが、公平な市民生活を確保するために政策的に個別排水の下水道使用料を公共下水道と同じ水準にしています。そのため、公共下水道と一体的に管理し、設備維持、運営体制を定期的に検証していく必要があります。なお、下水道事業全体としては経費回収率及び経常収支ともに100%を超えています。(2)効率性について統計上の浄化槽処理能力を定め、H27決算統計から算定を開始しました。施設利用率は全国平均及び類似団体平均を下回っており、さらに利用を推進したいところではありますが、少人数世帯化や節水型設備の普及などが反映されているものと想定されます。今後については、より一層、将来を見据えた適正規模の浄化槽整備に心がける必要があるものと考えます。※H26の⑤経費回収率と⑥汚水処理原価は他との差異が大きくなっていますが、これは当該年のみ繰出基準を考慮した経費分類により、計上したことが要因であり、経営分析上の実質的な経費回収率及び汚水処理原価はそれぞれ56.84%、197.94円と算定されます。
老朽化の状況について
平成10年度から事業を開始し、現在312基の設置が完了しています。保守点検結果により、修繕対応はしておりますが、経過年数が長い施設は、部品型式が変更になるなど、更新工事が必要な状況にもなっております。標準耐用年数である15年を経過する施設が109基(35%)となっていることもあるので、計画的な修繕や更新が必要となっています。
全体総括
公共下水道を補完する形で整備が進められる個別排水処理施設は、下水道事業会計全体に与える影響は小さいものの、経営の健全性及び効率性に課題を残しているため、市民が納得できるような形での維持・改善を図りたいと考えます。また、個別排水処理施設整備事業についても公共下水道事業と合わせて平成30年5月に策定した経営戦略の内容、及び平成30年度に実施した経営効率化推進調査結果を踏まえ、健全な事業運営を図る必要があります。