地域において担っている役割
当院は、県立中央病院と市立市民病院を統合、総合的かつ高度な診療機能を有する、将来の医療の進歩と多様化にも対応できる新たな基幹病院として設立されており、高度急性期医療を県民に提供する役割を担っている。また、自治体病院として周産母子医療やへき地医療など、政策医療、不採算医療といった地域における不足分野の医療の提供も担っている。
経営の健全性・効率性について
①高い収益を維持していることから、近年は経常収支比率100%を上回っており、経営の健全性を一定確保している。②医業収支比率が平均を下回っているが、当院は、政策医療や不採算部門を担っており、その補助金を受け入れているためであり、その役割をしっかりと果たしているものといえる。⑤収益確保のため、重傷の患者をより短期間で診るという取組を進めており、患者一人当たりの単価は平均をはるかに上回っている。⑦職員給与費比率は、医業収益増により、平均値を下回ってはいるが、給与費は職員数増により、増加傾向が続いており、将来の経営悪化の懸念要因となっている。⑧材料費については、ベンチマークシステムの導入を進めるなど、経費縮減に努めているが、まだ有意な効果は現れていない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似病院の平均率を下回っているものの、開院から13年が経ち、施設の老朽化は進行しており、今後、中長期的なスパンで計画的な修繕が必要となってくる。②機械備品減価償却率は、ここ数年間、類似病院の平均率との大きな乖離はないものの、平成28年度に増築した施設(がんサポートセンター)に導入した大型機器が追加されるため、平成29年度には一時的に償却率が大幅に低下する。
全体総括
2年に一度の診療報酬改定に的確に対応し、高い収益性を確保することで、安定した経営が保たれている。しかしながら、県内の患者動向(患者数の減少・高齢化)や国レベルでの医療費抑制の流れの下、将来に向かってこれまで同様に収益を伸ばし続けることは困難な状況にあると認識している。そのため、安定した経営基盤の確保のため、費用縮減(特に給与費、材料費、委託費)への取り組みを強化していく。