地域において担っている役割
当院は,広島県の福山・府中二次保健医療圏に位置し,広島県東部から県境を越え岡山県西部にまたがる備後圏域の基幹病院として,「高度急性期」・「急性期」機能を担っています。また,「救命救急センター」を併設し,三次救急医療を担っているほか,「第二種感染症指定医療機関」として新型コロナウイルス感染症に対応しています。さらに,「災害拠点病院」や「地域医療支援病院」のほか,4月には「小児救急医療拠点病院」の指定を県から受け,小児救急患者を24時間365日受け入れるなど,地域において重要な役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が100%を上回り,黒字を確保した一方で,②医業収支比率は100%を下回る状況が続いています。新型コロナウイルス感染症対応のため病床を確保する必要があることから,④病床利用率は令和2年度以降70%台で推移しています。収益面では,⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益は類似病院平均値を上回っています。なお,入院収益は患者1人1日当たり収益の増,外来収益は患者数の増により,ともに増収となりました。費用面では,⑧材料費対医業収益比率について,類似病院平均値より高い水準が続いています。引き続き薬品費など材料費の適正化に向けた取組を進めます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率,②器械備品減価償却率について,類似病院平均値を上回っており,減価償却の進度が平均より早く,老朽化が進んでいる現状を示しています。これは,建物のうち本館部分について,建設から44年を経過したことや,特に高額な医療機器の減価償却が進んでいることなどによるものです。③1床当たり有形固定資産は類似病院平均値を下回っていますが,医療機器等の取得額が除却額を上回ったことで増加に転じました。これから本館の建替え工事に着手しますが,引き続き,計画的な施設・設備・機器の整備に努めます。
全体総括
令和3年度決算では,令和2年度同様,新型コロナウイルス感染症に係る補助金の交付があり,経常収支で大幅な黒字を計上したものの,医業収支比率は100%を下回る状況が続いており,経営効率化のため,収益の向上や費用の適正化に向けた取組を進めていく必要があります。引き続き,「質の高い安全な医療を通じて『安心と生きる力とやすらぎ』を地域に提供するとともにこころ豊かな医療人を育成する」市民病院理念のもと,地域の医療機関等との連携を図りながら,高度で良質な医療の提供に努めます。