地域において担っている役割
当院は救命救急センター・災害拠点病院・地域医療支援病院などの指定や承認を受けており、湘南東部二次保健医療圏において数多くの医療機能を持ち、地域から必要とされる高度急性期・急性期医療を提供する役割を担っています。また令和3年度は、前年度に引き続き、神奈川県が提唱した医療提供体制「神奈川モデル」における高度医療機関及び重点医療機関協力病院として、新型コロナウイルス感染症の重症・中等症患者の治療にあたってきました。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大や世界的な変異株の流行に伴い、県の要請で病床数を多く確保することとなったため、患者数はコロナ禍前までの水準には至りませんでした。しかしながら、全体的に回復傾向にあり、患者数の増加に伴い、入院及び外来収益が大幅に増加しました。費用においては、診療材料費や薬品費等の材料費、光熱水費や委託料をはじめとした経費が増加しましたが、収益の増加により、医業収支比率は前年度に比べて4.4ポイント増加しました。また、新型コロナウイルス感染症対応のため、病床確保を行ってきたことに対する補助金等の交付により、経常収支比率は前年度に比べ5.4ポイント増加し、106.3%となりました。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、市民病院再整備事業の完了に伴い、事業開始前と比べて有形固定資産減価償却率が減少しましたが、建物等の減価償却に伴い、年々増加しております。②器械備品減価償却率については、令和元年度・2年度に、新型コロナウイルス感染症に対する診療体制の整備等に伴い器械備品を購入したことにより、0.3ポイント減少しました。令和3年度はこれらの減価償却が開始したことなどにより、前年度に比べて1.9ポイント増加しました。今後も医療機器の収益性等も含めて検討し、計画的な機器の更新を行ってまいります。
全体総括
令和3年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響が続いていますが、全体的に患者数が回復傾向にあり、診療収益が前年度に比べて大幅に増加しました。また、国や県の補助金等による減収の補填により、病院事業の収支全体としては純利益を計上しました。次年度以降も新型コロナウイルス感染症の影響が続くことが予想されます。公立病院として感染症患者等への医療提供を行っていくとともに、藤沢市民病院「健全経営推進計画」に基づいた医療の質の向上、持続可能な健全経営を行えるよう、収益確保及び費用抑制に向けて、今後も取り組みを進めていきます。