地域において担っている役割
当院では、三次救急を担う高度救命救急センターを設置するとともに、ドクターヘリの基地病院として、県全域から重症患者を受け入れています。また、「第二種感染症医療機関」として新型コロナウイルス感染症への対応や、「地域がん診療連携拠点病院」として放射線治療や、外来化学療法センターの再整備による化学療法等のがん診療の更なる充実など、高度・特殊医療の提供に努めています。さらに、地域医療支援病院として、代診医派遣や地域医療従事者への研修等地域医療・へき地医療の支援に取り組むとともに、基幹災害拠点病院・原子力災害拠点病院として、災害医療の体制を整備しています。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、入院・外来患者数が増加し、新型コロナワクチン接種の受託や他会計補助金等の増加による収益の増加に加え、経営改善実行プランの推進による病床利用率の増加など、医業収支比率は、対前年度比2.5ポイントの増加となりました。また、経営改善の取組により特別損益を含めた純損益は、平成22年度以来の黒字となりました。なお、累積欠損金については、令和3年度に資本金を一部減資し、利益剰余金に振り替えて、欠損金(累積赤字)を減少したことで、累積欠損金比率は130.4%から1.2%へ大幅に改善しました。引き続き、経営の健全化・効率化に向け、病院全体で取組を推進していきます。
老朽化の状況について
現施設は、移転新築から20年以上が経過し、建築外装や照明器具等の更新時期を迎えています。また、建築内装や電気・空調・衛生設備もあと10年以内に更新時期を迎えます。病院の保全・長寿命化のための工事を計画的・効率的に実施するため、本院では平成27年11月に施設・設備の長寿命化計画を策定しました。今後は、施設・設備の適正管理を行いながら、整備費の抑制や費用の平準化を図りつつ、必要な修繕・更新を進めていきます。
全体総括
当院は、県内全域を対象とした救命救急医療・災害医療など政策医療を提供する県立病院としての役割を今後とも果たしていく必要があります。そのためには、経営の安定化が不可欠であり、「経営改善実行プラン」を毎年度新たに策定しています。当面は、この「経営改善実行プラン」に基づき、職員が一体となって、引き続き、経営の改善に取り組んでいきます。また、令和5年度には、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、必要な経営強化の取組を示した公立病院経営強化プランを策定します。