地域において担っている役割
静岡医療圏の基幹病院として、急性期および高度急性期医療を担っている。特に心臓病治療の実績は高く、先進的ながん治療など、高度で良質な医療の提供に努めている。また、断らない救急医療、質の高い高度急性期・急性期医療の提供を通じ、より多くの急性期患者、新規患者の受入を進めるとともに、地域の医療機関や介護施設、異なる機能を有する病院・病床などとの連携や、紹介・逆紹介などを通じて、地域完結型医療の実現に寄与している。新型コロナウイルス感染症患者については、県内唯一の第一種感染症指定医療機関として、早期から受入れ、重症・中等症患者の治療に当たっている。
経営の健全性・効率性について
経常利益は、1,197百万円を計上し、経常収支比率は105.4%となった。医業収支比率は、給与費、材料費、経費が増加したが、それ以上に収益が増加したことにより、前年度を上回った。病床利用率は、平均在院日数が0.3日減となったが、新入院患者数が508人増加したため、前年度を上回った。入院1人1日当たり収益は、在院日数短期化、軽症受診減少等により増加した。外来患者1人1日当たり収益、材料費対医業収益比率は、外来化学療法の件数増、高額薬剤使用増により前年度を上回った。職員給与費対医業収益比率は、給与費が増加したが、収益の増加により、前年度を下回った。
老朽化の状況について
償却率については、平成28年度の独法移行時での開始貸借対照表作成に当たり、固定資産を再評価し、耐用年数が経過したもの及び取得価格から減価償却累計額を差し引いて10万円以下となるものは固定資産に計上しなかったため、有形固定資産減価償却率及び器械備品償却率は全国平均値及び類似病院平均値を下回るという背景がある。有形固定資産減価償却率は、総合医療情報システムの更改により低下したが、器械備品償却率は、令和2年度取得の器械備品等の減価償却費が計上されたため上昇した。1床当たり有形固定資産については、取得価額に対し、除却した有形固定資産が僅少だったことから前年度対比で上昇した。
全体総括
令和3年度決算は、職員数の増加等による給与費の増、材料の使用増による材料費の増に加えて、総合医療情報システムの更改に伴い、前年度比1,429百万円の費用増となったが、医業収益の増加や新型コロナウイルス感染症関連補助金の計上により、黒字となった。しかし、経営の健全性・効率性の各指標は、新型コロナウイルス感染症拡大前と異なる傾向にあり、医療を取り巻く経営環境や新型コロナウイルス感染症の動向については、依然として不透明な状況が続いている。特に、物価高騰の影響から光熱水費の価格上昇のあおりを受けるなど、今後も財政的に大きな負担が見込まれている。厳しい状況下ではあるが、中期計画に基づいた取り組みをより効率的に行うとともに、公立病院の経営強化や医師の働き方改革のさらなる推進を行っていく。あわせて、診療報酬の施設基準の維持及び新規取得による収益の最大化、費用の抑制に努める。