地域において担っている役割
当院は富士保健医療圏で最大の総合病院であり、ICU・NICUを有するなど高度急性期医療を担うほか、結核、感染症、救急、精神医療等の不採算部門を担うなど地域の基幹病院として、市民の生命を持続的に守ることで、安心・安全な社会づくりの一翼を担っている。また、地域がん診療病院として、専門的ながん医療の提供、相談支援や情報提供などの役割を担っている。さらに、令和2年8月より県から新型コロナウイルス感染症重点医療機関の指定を受け、主に中等症以上の患者受入れを行うなど、その役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症重点医療機関として中等症以上の患者を受け入れる病床を確保するなどのコロナ対応により、前年度を上回る国庫補助金及び県補助金を受け入れた。その結果、経常収支比率や累積欠損金比率が改善した。入院収益について、コンサルティングファームを活用した経営改善や新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬の臨時・特例措置等により、入院患者1人1日当たり収益が改善したことなどから前年度対比で増となった。入院収益の増などにより医業収支比率は改善したものの、依然として職員給与費対医業収益比率は平均値を上回っており、職員数の適正化を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が76.4%と平均値より相当高く、類似病院と比較して老朽化が進んでいることを示している。現施設の本館は昭和59年に建設されたものであるが、新病院が開設されるまで引き続き使用していくため、長寿命化対策は必須となる。限られた予算の中でより効率的・計画的に施設、設備の更新を図っていく。器械備品減価償却率は、電子カルテの償却状況に応じて大きく変動しているが、こちらも類似病院より老朽化の傾向があるため、備品購入時において価格競争が促されるような機種選定をするなど効率的な予算執行を図っていく。
全体総括
新病院の開設まで、地域における役割を確実に果たせるよう、現施設に必要な改修工事など長寿命化対策を実施し、器械備品についても最新の医療が提供出来るよう更新を進めていく必要がある。これらを実現するためには多額の費用が必要となるので、引き続きコンサルティングファームを活用した経営改善を進めることで増収を図り、また職員数の適正化についても同規模病院の事例研究や職員配置の変更などの検討を進めなければならない。新型コロナウイルス感染症の収束後の社会において、地域医療支援病院として医療提供体制を確保し、地域完結型医療体制構築の更なる推進を図れるよう職員一丸となって課題解決に向け取り組んでいく。