地域において担っている役割
君津保健医療圏において、がん、脳卒中及び心筋梗塞等の心血管疾患等に対する高度専門医療並びに三次救急医療、周産期医療、小児救急医療及び災害時における医療等の採算性の確保が難しく、民間医療機関による提供が困難な医療を担うとともに、今般の新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、重点医療機関の役割も担っている。また、基幹・中核病院として、近隣医療機関との連携を図り、地域の医療水準の維持・向上に努めている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率は、新型コロナウイルス感染患者の受入病床の確保等の影響により、前年度比1.2ポイント増となったものの、感染拡大以前と比較して低い水準となった。しかしながら、経常収支比率は、医業活動による収益性が改善したことに加え、コロナ関係補助金等の財政支援もあったことで前年度比2.0ポイント増の105.8%となり、健全経営の水準とされる100%を上回った。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が類似病院平均値を大きく上回っているのは、建設から18年が経過し、建物附属設備の経年劣化による影響が、類似病院よりも進んでいるからである。また、器械備品減価償却率が類似病院平均値を上回っているのは、収支状況が悪く、支出抑制のために医療器械の更新時期を先延ばしにしている影響の表れである。
全体総括
新型コロナウイルス感染拡大・長期化の継続により、病床利用率は前年度との比較でわずかに上昇したものの、低い水準となった。収益面では、効率的な手術室運用による手術件数・手術室稼働率の向上やDPC入院期間の最適化等を図ったことで、医業収益が増収となった。費用面では、医薬品及び診療材料に係るベンチマークシステムから取得した価格を根拠とした価格交渉及び共同購入の実施等の取組により、費用縮減に努めた。引き続き、地域において必要とされる医療を提供していくために、安定した経営の確保に向け、収支改善に努める。老朽化への対応については、「君津中央病院企業団中長期維持保全計画」の内容を精査し、費用の縮減及び平準化を図りながら、現有施設の長寿命化に努める。