地域において担っている役割
「人中心の医療」を理念に、地域に根ざした地域完結型医療に取り組んでいます。一般病床(地域包括ケア病棟を含む。)、療養病床(医療型)、回復期リハビリテーション病棟及び訪問看護ステーションを有し、急性期から在宅医療まで継続した総合的な治療を行っています。地域がん診療連携拠点病院としてがん疾患や、心臓疾患、脳血管疾患に対する高度な医療を提供するとともに、地域医療支援病院として病診連携の強化にも取り組むなど地域医療における重要な役割を担っています。また、ヘルスケア研究センターを有し、健診業務を通じて地域住民の予防医療に取り組んでいます。
経営の健全性・効率性について
コロナ対策による国の補助金を受け4年連続の収支改善により、①経常収支比率が110.3%、③累積欠損金比率についても46.3%と前年度より大きく改善しました。また、コロナ禍により減少した患者数の戻りが弱いものの、医業収益が改善し②医業収支比率が88.4%と前年度よりやや持ち直しました。⑦職員給与費医業収益比率については60.6%と前年度よりやや改善しましたが、⑧材料費対医業収益比率は材料費の増加を受け30.5%と前年度より上昇しています。一方、⑤入院患者1人1日当たり収益や⑥外来患者1人1日当たり収益は前年度よりやや上昇したことから、患者減による医業収益の落ち込みをある程度抑制した形となっています。なお、④病床利用率については、大規模改修工事やコロナ対応により一部閉鎖した病棟分を除いた稼動病床数で算出すると、一般病床の利用率は79.4%となります。また、⑤入院患者1人1日当たり収益については、一般病棟のほか、療養病棟、回復期リハビリテーション病棟の入院患者単価が含まれています。一般病棟の入院患者単価は74,212円、療養病棟は20,034円、回復期リハビリテーション病棟は32,509円となり、回復期リハビリテーション病棟を除き、いずれも前年度より増加しています。
老朽化の状況について
本館は竣工後20年を経過し日々の維持管理や部分的な修繕では病院機能を維持することが困難な状況となっていたことから、手術や救急部門及び集中治療室などは、平成27年度に診療支援棟を増築し本館の高度医療施設の移転・増強を実施しました。また、令和元年度から実施していた本館の「大規模改修事業」が令和3年10月に完了し、病棟機能強化の充実により患者が安心して療養できる環境が整いました。また、平成31年1月から電子カルテシステムを更新、令和2年11月からヘルスケア研究センターを移転・リニューアル、令和3年5月には内視鏡センターを拡充オープンし、より一層の患者サービスの向上に努めています。
全体総括
一定の常勤医師確保は進んできているものの、経年劣化する施設設備更新への対応やコロナ禍による患者の減少などの影響により厳しい経営状況が続いています。こうした中においても、公立病院としての社会的使命を果たすため、院内感染防止対策を徹底し安心して患者が来院・入院できる環境を整えるとともに、通常診療の維持や地域ニーズに沿った医療を安定的かつ継続的に提供できるよう診療体制の充実に努めました。今後とも、長浜市病院事業中期経営計画に基づき経営改善に向けた取組を推進し、地域医療機関との連携と協力を推進していくとともに「高度急性期から慢性期まで地域で完結できる医療を提供できる地域完結型医療の推進」や「核となる医療を提供できる病院づくり」など、医師の働き方改革や常勤医師確保に向けた取組を最重要課題として、地域住民に安心・安全の医療を提供できる魅力ある病院づくりに努めていきます。