地域において担っている役割
国指定の地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、救急告知病院、地域周産期母子医療センター、災害拠点病院などの公的役割を持ち、地域の中核病院としての機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
令和3年度において、収入面では新型コロナ感染症の影響で患者数(④)の減となったが、通常医療を維持しつつ、入院ではコロナ患者を積極的に受け入れ、外来でも多くの疑似症を受け入れた結果、診療報酬上の臨時的取扱いによる単価上昇も影響し単価(⑤⑥)の上昇かつ多額のコロナ関連補助金等の確保により増収となった。費用面ではコロナ対応による多額な経費の増及び高額薬品また個人用防護具の使用量の増や単価上昇等により支出増となった。その結果、②医業収支比率は前年度比2.4ポイント増、①経常収支比率も13ポイント増となり、類似病院平均値をともに上回った。
老朽化の状況について
地方公営企業法の全部適用から地方独立行政法人への移行時に有形固定資産は設立団体(東大阪市)から承継した。その際、移行時の有形固定資産については、建物を時価(償却後再調達原価)で、医療機器を簿価(償却後残存価額)で、それぞれ承継している。しかし、減価償却費については、移行時から新たに計上されるため、移行前の減価償却累計額は承継していない。そのため、①有形固定資産減価償却率、②器械備品減価償却率及び③1床当たり有形固定資産の3指標において、全国平均、類似病院平均値と比較し大きく乖離し、低くなっている。
全体総括
令和3年度は昨年度に引き続き②医業収支比率が100%を下回り、①経常収支比率が100%を上回る結果となったが、これはコロナ禍の影響による一過性のものと捉えている。今後、後期高齢者の数がピークを迎えるとされる2025年に向け、専門性の高い医療及び高度急性期・急性期医療の提供を行う。一方で高稼働の維持と診療単価アップによる収益向上を図るとともに、薬品費、材料費、経費等の支出削減・抑制に努め引き続き収支改善に取り組む。また、それを支える人材の確保、施設・設備の長寿命化のための改修を行い、長期的に安定した医療提供体制を整備する。なお、令和4年度又は5年度に国から策定を求められている公立病院経営強化プランは、地方独立行政法人法に基づく中期計画をもって充てる予定としている。