地域において担っている役割
がん診療の中核拠点病院として、高度で先進的ながん医療を提供するとともに、研究所や他の医療機関、大学と連携してゲノム医療の実用化を始めとする新しいがん医療を創出し、提供していく。
経営の健全性・効率性について
主に外来化学療法で処方する高額な抗がん剤の新規採用や適応拡大により、⑥外来患者1人1日当たり収益及び⑧材料費対医業収益比率は増加傾向にあったが、令和3年度は院外処方の増加により大きく減少したものの類似病院平均を上回る状況が続いている。⑤入院患者1人1日当たり収益は、手術件数・単価の増加に伴って増加傾向にある。また、④病床利用率は令和2年度からは新型コロナウイルスの影響で大きく減少し、平均在院日数の短縮によって伸び悩む傾向が続き、類似病院平均を下回っているが、⑦職員給与費対医業収益比率は類似病院平均を下回っているため、人件費の費用効率は良好である。①経常収支比率は、平成29年度から令和元年度までは減少傾向にあったが、令和2年度は高額寄付による収益により増加し、令和3年度は新型コロナウイルス感染症にかかる予防接種事業により、②医業収支比率とともに大幅に増加した。③累積欠損金比率は減少しており、類似病院平均と比較すると経営状況は良好である。
老朽化の状況について
①【有形固定資産減価償却率】類似病院平均より高くなっており、前回の改築時(平成3年特殊放射線・診療棟竣工、平成4年病棟竣工)から30年余りが経過し、施設の老朽化が進んできていることを示している。②【器械備品減価償却率】類似病院平均より高い傾向であったが、令和元年度は、高額な放射線機器を更新したため減少し、令和2年度から増加している。③【1床あたり有形固定資産】1床あたりの有形固定資産の保有状況は、研究所を併設していることや、高度で先進的ながん医療の提供に必要な医療機器を整備しているため、類似病院よりも高い状況である。
全体総括
経営状況としては、経常収支比率及び医業収支比率は特殊要因により改善し、黒字を維持しており概ね良好な状況となっている。引き続き、最先端の研究成果と根拠に基づいた最良のがん医療を提供しつつ、都道府県がん診療連携拠点病院として県内のがん医療の中心的役割を果たしていく。