地域において担っている役割
国指定の地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、救急告知病院、地域周産期母子医療センター、災害拠点病院などの公的役割を持ち、地域の中核病院としての機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、各年度100%未満で赤字の状況が続いており、その結果、③累積欠損金比率の減少が図れていない。また、H28の③累積欠損金比率が高水準となっているのは、H28.10に地方公営企業法の全部適用から地方独立行政法人へ経営形態を移行したことにより、当年度未処理欠損金をH28.4~H28.9の半期の医業収益で除したことによるものである。②医業収支比率については、H27に過年度と比較して改善が図れたが、H28には再び悪化しており、類似病院平均値と比較しても減少幅が大きくなっている。これは、④病床利用率がH27比で横ばいとなったものの、施設基準の新規取得や地域の医療機関との外来の機能分化に係る取組等により、⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益が増加したこと、また、それに伴い医業収益が増加した一方で、安全・安心な医療を提供するため検体検査の自主運営等に係る人員増により職員給与費がさらに増加したことが原因となっている。なお、⑧材料費対医業収益比率については、材料費のベンチマークシステムを採用したことにより、他病院の仕入れ状況を把握したうえで価格交渉し材料費の削減を図ったことで、H25以降減少しており、H28では類似病院平均値を大きく下回っている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、特に建物の老朽化の進行により年々増加している。また、②機械備品減価償却率は、計画的に機器更新等を行っているものの、毎年微増が続いている。さらに、H27の③1床当たり有形固定資産はH26より増加しているが、これは緩和ケア病棟の新設に伴い病床数が573床から547床になったことによるものである。なお、③1床当たり有形固定資産について、H28年度に数値が計上されていないのは、H28.10に地方独立行政法人へ運営形態を移行したことにより、比率計算上分母にあたる年度末病床数が0となるためである。
全体総括
H24からH28の経常収支比率は100%未満となっており、単年度の収支が赤字となっている。このような状況を踏まえ、H28.10より運営形態を地方公営企業法の全部適用から、急激な医療環境の変化により迅速かつ柔軟に対応し、経営課題を解決していくことができる運営形態である地方独立行政法人に移行し、中期計画を策定・実行することで健全な経営の遂行を目指している。また、建物の良好な状態を保つため、今後、経営状況を鑑み優先順位を設けて、必要な保全工事を実施していく。併せて、機械備品についても順次更新を行うとともに、高度医療への対応、医療の効率化及び医療の質の向上を図るため、高度医療機器の導入を実施していく。