地域において担っている役割
救命救急センターを併設する南予地域の急性期基幹病院として二次・三次救急医療を実施しており、圏域の救急医療体制の中核である。加えてがん診療や災害医療をはじめとする政策的医療や結核・感染症医療等の不採算医療を担っているほか、地域で唯一の総合病院として多様な疾病に対応している。また、臨床研修病院として医療福祉に貢献できる人材育成を行っている。近年では近隣の周産期・小児医療機関が減少してきており、当院の担う役割が大きくなってきている。
経営の健全性・効率性について
新型コロナの影響は続いており、医業収益、病床利用率は前年度と同程度となっている。しかし医業費用は増加しており、医業収支は悪化した。増加の要因としては材料費(主に高額医薬品)の影響が大きい。経常収支についてはコロナ関係の補助金が大幅に減少し、医業収支の悪化もあり黒字から赤字となった。それに伴い累積欠損比率が上昇したが、類似団体と比較すると良好な水準を保っている。また、入院単価が類似団体と比較して約9,000円低いのは、看護配置基準が当院10対1に対して同規模病院は多くが7対1であることが要因と考えられる。一方で病床利用率は類似団体よりも高い水準にあり、収益ベースとしては類似団体より高い水準にある。
老朽化の状況について
当院は平成21年度に改築しており、減価償却率は全国平均、類似団体と比較しても低い傾向にあるが、年々償却していく中で比率の差が少なくなってきている。器械備品は医療機械の耐用年数が概ね6年前後であり、改築後に整備した機器についても長期的な更新計画のもと順次更新が行われ償却率が低下傾向にあるが、前年度に更新した高額医療機械の償却が始まった影響もあり当年度は上昇している。
全体総括
令和3年度決算においては前年度から新型コロナの影響が続き、医業収支・経常収支ともに赤字となった。特に経常収支についてはコロナ関係の補助金による収入が大幅に減少したことにより黒字から赤字となり、前年度よりも厳しい結果となった。今後は医業収支の黒字化を目指したいが、患者数や病床利用率がコロナ禍以前の水準まで回復する見通しが現状立っていない。厳しい状況ではあるが、地域の医療ニーズに応えるために計画的・効率的な設備投資を行うことで安全安心な医療の提供と安定的な利益確保を図り、引き続き南予地域の中核病院としての責務を果たしていく。