地域において担っている役割
当院では、三次救急を担う救命救急センターを設置するとともに、ドクターヘリの基地病院として、県全域から重症患者を受け入れています。また、県内唯一の総合周産期母子医療センターとして、常時の母体・新生児の受け入れを行うとともに、地域がん連携拠点病院として、手術・化学・放射線いずれの療法にも対応できる体制を確保しています。さらに、地域医療支援病院として、代診医派遣や地域医療従事者への研修等地域医療・へき地医療の支援に取り組むとともに、基幹災害拠点病院・原子力災害拠点病院として、災害医療の体制を整備しています。
経営の健全性・効率性について
平成28年度は、患者数の減少を主要因として、経常収支比率や医業収支比率、病床利用率が減少し、職員給与費対医業収益比率は大きく増加しました。患者数の減少は、外科、消化器科、眼科などの特定診療科の医師不足による診療抑制や、在院日数の短縮に伴う延べ患者の減少など、様々な要因によるものと考えられます。医師不足については、関係機関とも協力しながら、各大学に協力を要請するとともに、より高度な治療が可能となるハイブリッド手術室の整備や、救急・集中治療部門の体制確保など、若手医師の定着や医師の確保に向けた魅力ある病院づくりを進めています。健全かつ効率的な病院経営に向けては、平成28年10月に策定した「新公立病院改革プラン」に基づき、収益確保対策や費用節減対策、適切な資産管理等に取り組んでいるところです。
老朽化の状況について
現施設は、移転新築から約20年が経過し、建築外装や照明器具等の更新時期を迎えています。また、建築内装や電気・空調・衛生設備もあと10年以内に更新時期を迎えます。病院の保全・長寿命化のための工事を計画的・効率的に実施するため、本院では平成27年11月に「島根県立中央病院長寿命化計画」を策定し、現在、当該計画を基に修繕・更新を進めています。
全体総括
当院は、県内全域を対象とした救命救急医療・周産期医療等の政策医療を提供する等、県立病院としての役割を今後とも果たしていく必要があります。そのためには、経営の安定化が不可欠なため、「新公立病院改革プラン」を着実に実行し、経営の改善に取り組んでいきます。