地域において担っている役割
当院は地域の中核拠点病院として、当該圏域の医療を守るため、救急・小児・周産期・精神及び災害医療等の不採算部門を担っている。また、基幹となる病院として、「質の高いがん医療」が受けられるように和歌山県が独自に指定する「がん診療連携推進病院」に、若い医師の育成・指導の場として「臨床研修指定病院」に、地域のあらゆる災害に対応する為「災害拠点病院」に、それぞれ指定され役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率の直近5年間では、100%に満たない状況が続いている。また、③累積欠損金比率についても年々増加しており、経営状況は厳しくなっている。②医業収支比率についても、類似病院平均値を下回っており、厳しい状況である。年々微増しているため改善方向には向かっている。④病床利用率については、看護師不足のため53床休床していることが影響しており、平均値より低い推移を続けている。経営の悪化にも繋がるため早期改善を図りたい。⑤⑥入院・外来ともに1人1日当たりの収益は上昇傾向にある。それに伴い⑧材料費対医業収益比率も上昇しているため、材料費の単価見直し等を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似病院の平均値を下回っていることから、施設全体としては老朽化が進んでいないと考えられる。しかし、②機械備品減価償却費率は平均値を上回っていることから、機械備品については老朽化が進んでいると考えられる。そのため、今後適切な更新計画に取り組んでいきたい。③1床当たり有形固定資産については、平均値を下回っており、かつ低すぎないので良い状況と言える。
全体総括
人口減少など昨今の病院を取り巻く環境は、年々厳しい状況になり医業収入の減少が見込まれている。当院は、経常収支比率が100%未満で、累積欠損金比率も高く、経営状況が非常に厳しい。また、医業収支比率も低く、他会計からの繰入金に依存せざるを得ない状況である。しかしながら、地域の中核病院かつ唯一の公立病院であるため、不採算部門を担っていく必要があるので、繰出基準に基づき対応していく。大幅な改革が必要となっている。