地域において担っている役割
市立伊丹病院は公立病院として地域に必要とされる急性期医療の提供に努め、市民の生命と健康を守ってきた。地域医療支援病院として地域の診療所からの紹介患者を受け入れると共に、救急病院として急性期患者の受け入れを中心に阪神北準圏域における伊丹市内の救急車の受け入れについて基幹的役割を担っている。指定病院として、地域における医療の質の向上や、完結率の向上、医師の研修体制の充実を図ってきている。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は入院期間の適正化等により患者1人1日当たりの収益増となり、入院及び外来患者数は減少したものの前年度より引き続き黒字となった。しかしながら、医業収支比率は100%を下回る状況は依然として続いており累積欠損金比率も逓減しているが、なお40%を超える状態が続いている。新型コロナウイルスによる減収の影響を最小限に留め、地域で求められる医療を提供するための診療体制の確保に努め、持続可能な経営ができるよう取り組む。
老朽化の状況について
当院の建物は昭和58年に建てられたもので、特に設備の老朽化が著しく進んでいる。そのため年次計画に基づく計画保全を実施しているが、経年劣化により想定外の故障・漏水等が発生している。また、高度急性期病床や回復期病床の不足などの地域医療の現状があることから、今後は地域医療構想における役割を果たすため、地域の基幹病院との統合再編を踏まえ、現伊丹病院の敷地を活用し、統合再編基幹病院として建て替えを行う方向で進めていく。
全体総括
近年、施設の老朽化が進み、医療技術の進歩に沿った機器の整備が伴わず、それを一つの要因として医師の確保が困難とされる中で高度な医療技術を必要とする心血管疾患及び脳血管疾患等の患者の多くが、高度急性期病院が集中する阪神南圏域など市外の医療機関で入院されている。令和元年度において「市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る基本方針」が策定され、地域医療体制が抱える課題に対応するためには両院の統合再編が必要であると判断するに至った。今後は2025年中の開院を目指し統合再編基幹病院の整備に必要な設計業務や建設工事について計画的に進めることで、安定的・継続的に質の高い医療提供体制を構築していく。