地域において担っている役割
都道府県がん診療拠点病院として、高度で先進的な集学的治療を提供するともに、医療従事者の育成、新規治療法開発等の臨床研究、情報発信等を行っている。また、東播磨医療圏域における唯一の地域がん診療拠点病院として、地域の医療機関と緊密に連携し、安心して切れ目のない診療が受けられる体制を構築している。
経営の健全性・効率性について
(1)収益の確保平均在院日数の短縮等により延入院患者数は減少したものの、新規患者数の増加や診療単価の向上により、経常収支比率(101.7%)は100%以上を確保し、医業収支比率(96.2%)とともに平均値を上回っている。また、地域医療機関との連携強化(広報誌の発行、研修会・学術講演会・フォーラムの開催等)により、新規患者の確保に努めた結果、病床利用率(76.3%)も平均値を上回る値を維持している。(2)費用の抑制新たに薬価収載された抗がん剤等の活用により材料費が増加したため、材料費対医療収益比率(41.9%)は平均値を上回っており、薬品及び診療材料の定数管理の適正化、使用期限切れ等ロスの縮減、診療材料の院内統一の推進により材料費の抑制に努める必要がある。
老朽化の状況について
昭和59年5月開設から32年余りが経過し、平均値を上回る有形固定資産減価償却率(69.2%)及び機械備品減価償却率(73.0%)が示すとおり、施設・設備機器等の老朽化が進んでいる。このため、改修・修繕費用が増嵩傾向にあり、診療機能に重大な支障を来すことのないよう緊急度を精査しながら計画的な改修・修繕に取り組んでいる。また、診療科の新設や医療機器の増設等に伴って診療スペース等の狭隘化が課題となっている。平成28年度には、現地建替の可否を確認するための埋蔵文化財試掘調査が行われ、建替整備に向けた今後のあり方の検討が進められている。
全体総括
患者1人1日当たり収益は、入院・外来ともに全国及び類似病院の平均値を上回っているが、近年、入院患者数が減少傾向にあることから、手術予定を勘案したベッドコントロールや内科・外科病棟の相互利用による有効活用、新規患者の確保等により、病床利用率の向上を図り、経営の効率性を向上していく。また、薬品及び診療材料の適正管理、安価な後発薬品や共同購入品への切替え、コスト意識の醸成による材料費の抑制、施設・設備機器等の計画的な修繕による経費の縮減に努める必要がある。今後とも、収益の確保、費用の抑制、施設・設備機器等の老朽化対策、患者サービスや医療の質の向上に努め、経営の安定化に取り組んでいく