地域において担っている役割
①高度急性期・急性期病院として、24時間365日体制で救急診療を実施。また、輪番制で小児救急医療を実施。②国指定の地域がん診療連携拠点病院として、専門的で質の高いがん医療を提供。③地域医療支援病院として、地域医療連携の強化及び地域医療の充実化を図っている。④臨床研修病院として、専門医制度の内科領域基幹病院としての役割を担う。
経営の健全性・効率性について
経常収支は100%を超え、黒字経営を維持している。過去の赤字により累積欠損金があるが、累積欠損金比率は毎年減少傾向にあり、類似病院より若干低くなるなど改善傾向にある。また医業収支比率は類似病院よりも高く、医業費用の98%以上は医業収益で賄うことができている。医業収支比率及び病床利用率は類似病院と比較しても高く、職員給与費対医業収益比率は類似病院より低くなるなど、適正な職員配置がなされ相応の診療収益が得られている。1人1日当たりの入院・外来収益は年々増加し、類似病院と比較しても高い水準を維持している。材料費対医業収益比率が類似病院と比較して高くなっているが、高額な抗がん剤の使用による薬品費比率が高いことによるものであり、外来収益で薬価算定ができている。
老朽化の状況について
病院開設から20年以上が経過し、医療機器や施設の老朽化が顕著になっている。これは、有形固定資産減価償却率及び機械備品減価償却率が増加傾向にあることや、類似病院と比較して数値が高いことからも明らかである。経常収支比率は100%を超えているため、経常収益で投資を賄うことができている。耐用年数や緊急性などを勘案し、医療機器の更新や既存施設の改修などを計画的に行っていく必要がある。1床当たりの有形固定資産の割合は類似病院よりも高くなっている。32診療科を有し高度専門医療を提供しているため、施設整備や医療機器等への投資は必要不可欠であり、類似病院に比べ高くなっていると考えられる。
全体総括
平成28年度決算では、経常収支比率が100%を超え、累積欠損金比率も着実に減少し、各種指標においても類似病院と比較して高水準を維持するなど、経営の健全性・効率性において経営状況は安定している。ただし、他病院と比較して有形固定資産の保有率が高く、老朽化の状況が進んでいる傾向が見られるため、計画的に投資を行っていくことが最重要課題である。