経営の健全性・効率性について
令和2年度において、常滑市下水道事業に地方公営企業法を適用し、農業集落排水事業の処理区域のうち1地区を公共下水道に編入し、集落排水設備使用料の改定を行った。経営状況として、①経常収支比率は124.27%と黒字となっており、類似団体平均値と比べても大きい黒字幅となった。農業集落排水事業においては一般家庭での使用が大半であるため、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響は小さく、令和2年4月に行った料金改定の効果もあり、使用料収入は増加している。しかしながら、⑤経費回収率は66.51%にとどまり、さらなる使用料収入の増大、経営の効率化が課題となる。⑥汚水処理原価は、類似団体平均値と比べて低く、効率的な維持管理を行うことができているものと考える。財政状態として、③流動比率は100%を下回っているが、建設改良費等の財源に充てるための企業債の償還は翌年度の収入によることを予定しており、類似団体平均値と比べても余裕のある比率となっている。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の全額を一般会計が負担する見込みであるため0となっている。⑧水洗化率は、戸別訪問による接続促進の取り組みによって毎年上昇してきたが、公共下水道へ編入した地区の水洗化率が他の地区よりも高かったことから、前年度と比べて低下した。類似団体平均値と比べても下回っているため、改善を進めることが課題となっている。
老朽化の状況について
管渠は耐用年数を迎えていないため、修繕・更新を計画的に行っていない。しかし、平成24年度には経年による管渠の閉塞が生じ、勾配確保のため本管を一部入れ替えている。
全体総括
市内全体で7地区について事業を実施しているが、それぞれの供用開始時期に違いがある。供用開始後の年数が長い地区では、充分な水洗化率を確保しているが、処理場の老朽化に伴う更新等の必要性が生じているため、効果的、効率的な維持管理に努め、支出を抑制する必要がある。一方で、比較的新しい地区では水洗化率が伸び悩んでおり、水洗化率の向上策をより一層進めていかなければならない。このようななか、適正な使用料水準を確保するため、令和2年度に料金改定を行った。こうした課題を整理した上で、経営戦略を活用しつつ、持続的かつ安定的な経営基盤の強化をに取り組んでいく。なお、平成28年度に策定した経営戦略については、令和2年度に見直しを行っており、その後も3~5年単位で定期的に見直しを行っていく。