地域において担っている役割
志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして、二次救急対応や政策的な医療(結核病床4床、感染症病床6床を有する)を提供し、他の公立病院と連携して急性期医療を中心に担っている。また、島田市唯一の病院であり、地域医療支援病院として、地域医療を担うかかりつけ医等を支援し、診療所等と密接な連携を図っている。さらに、静岡空港が立地する医療圏にあって、唯一の第二種感染症指定病院としての役割も果たしている。また、災害拠点病院としての指定を受けており、DMAT1チームを有している。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、5月に新病院が開院すると共に新たな施設での診療を開始し、病床利用率の上昇や診療単価の増加等により医業収益が改善、あわせて補助金等の医業外収益も増加したことにより経常収支比率が改善したが、依然100%を下回った状況が続いている。要因は、医業費用について新病院建設事業に伴う減価償却費の増加に加え、材料費対医業収益比率にも現されているとおり医業収益の増加に比例して材料費も増大したことであり、これらは医業収支比率の低下にも影響した。職員給与費対医業収益比率は改善しているが、類似病院と比べ以前高い傾向にあるため適切な人員配置による効率的な運用の検討をするとともに、購買監査や共同購入など費用を抑える努力を今後も継続したい。
老朽化の状況について
新病院建設事業が進められている中で、令和3年度は5月に新病院を開院し、旧病院建物の解体に伴う有形固定資産の除却費を特別損失に計上したことにより、有形固定資産の減価償却率が低下した。医療器械備品についても、新病院開院にあわせて多くの器械等を更新した。老朽化の問題は解決したが、今後数年にわたり減価償却費の増大が見込まれていることから、新しくなった施設や医療器械等を効率的に運用し経営改善につなげていきたい。
全体総括
令和3年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、新病院への移転そして開院を迎え、転機となる一年であった。新病院での診療を開始し、医師の増加及び新たな施設基準の取得等による診療単価の増加等により収益は改善した。しかしながら、今後数年に渡り新病院建設事業に伴う費用の増大などにより引き続き厳しい経営状況が見込まれる。新しくなった医療設備などの当院のPR、修学資金活用の周知や大学訪問の実施、また医療秘書活用等の働きやすい環境づくりの取り組みにより医師を継続的に確保したい。また、患者数の増加、病床の有効活用及び適切な診療報酬の確保に加え、市内・郡内の病診連携を一層強化し、志太榛原圏域やその周辺の医療機関との新たな病病連携を目指す。以上によりさらなる医業収益の増加、経常収支比率等の改善を図り、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして地域医療の貢献に努めたい。