経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率の推移について、平成24年度から28年度まで95~97%台で、平成29年度は実繰入額と地方債償還金の3~4割程度の減少が影響し86%台となり平成30年度は、総収益、総費用とも前年とほぼ変わらなかったのに対し、償還金が約4割減となったことにより再び97%台となった。令和元年度は、総収益に対し総費用と償還元金がいずれも8%増となったことにより、収益的収支比率は98%台となったが、令和2年度においては総収益、総費用とも前年並みに対し5年前までに実施した汚水処理場機能強化事業の借り入れに伴う償還が始まったことにより地方債償還金は約39%増となり再び前々年度の97%台となった。依然として、100%未満であるため実質赤字経営となっているのが現状である。④企業債残高対事業規模比率は、地方債現在高が約2.4%減、営業収益が4.7%増となった結果、前年比54.3%減となり、平成30年度から昨年度まで上回っていた平均値、全国平均とも下回った。しかしながら、既設管路等における法定耐用年数が近づき老朽化してきているのが現実であるため、今後において多額の修繕費用が必要となる。このため、企業債借入も避けられないため当比率もさらに上昇していくものと推測される。将来的な使用料金の見直しも見据え、健全経営を図っていく必要がある。⑤経費回収率の推移について、平成26年度まで汚水処理費の増加により年々減少傾向にあり平成27年度から平成29年度まで人件費の削減等により60%台で推移、平成30年度は修繕費減により再び平均値を上回り、令和元年度は使用料収入が前年並みに対し汚水マンホール等の修繕費、汚水処理費の増により再び60%台となり、令和2年度は料金収入4.7%増に対し汚水処理費2.5%増でほぼ前年度並みの回収率となった。依然として使用料で回収すべき経費をすべて賄えていないのが現状である。⑥汚水処理原価は平成30年度に平均値を下回ったが、令和元年度は修繕費の増により再び平均値を上回り、本年度においては有収水量が約3%増に対し汚水処理費もほぼ前年度並みの投資となり平均値を上回っており効率的な汚水処理が実施されている。⑦施設利用率は平均値、全国平均値とも大きく上回っており適切な施設規模となっている。⑧令和3年3月末現在の水洗化率は未接続人口の増により前年度比0.2%減の97.26%となったが、年々上昇傾向であり安定した使用料収入が確保されている。
老朽化の状況について
①処理場2施設当初整備期間昭和59年度~昭和62年度機能強化実施期間平成9~10年度平成25~29年度②汚水管整備期間昭和58年度~供用開始昭和63年3月整備全延長17,861.02m経年管延長30年以上17,087.85m95.67%25~29年55.90m0.31%20~24年42.10m0.24%15~19年675.17m3.78%10~14年0m0%9年以下0m0%
全体総括
当町における農業集落排水施設は、汚水処理場2箇所と汚水管渠を有している。この内、処理場においては、平成25~29年度まで国庫補助金と企業債を財源とし大規模な更新事業を実施したところである。一方、汚水管渠等については法定耐用年数を控えた経年劣化による老朽管の更新が必要となることは確実である。農林水産省所管の補助事業採択により更新に向け、平成30年度から管路詳細調査、平成31年(令和元年)度で最適整備構想策定、令和2年度で事業計画概要書策定が完了し、令和3年度から令和6年度完了に向けハード事業(管路と汚水マンホールの更新)を順次進めているところである。以上から、今後において企業債残高も再び増加に転じると予想される。このような中、令和6年4月開始予定で進めている公営企業化に向けた取り組みと並行し経営戦略の見直しや事業計画概要未策定地区の更新に向けた調査等の取り組みを進めつつ健全経営を図っていく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の大幅な増加は見込めないため、前段に示す取り組みの中で安定した経営が図れるようシュミレーションを行い段階的な使用料金の見直しを検討していく。水洗化の取り組みについては、長野県全域で進める「水循環・資源循環のみち2015構想」の中で設定した令和12年度目標を令和4年度中に見直しを行ない、住民への周知を継続実施していく。