経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については上昇傾向を示しているものの、100%には満たず、単年度の収支としては赤字の状況が続いている。令和2年度決算ではコロナ禍の影響により、使用料収入が前年度比で15.5%減少し、総収益のおよそ5割を一般会計繰入金に依存している状況である。安定的な経営基盤の確保が急務であり、今後適正な使用料の改定を実施し、経営の健全化を進める必要がある。④企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均と比較して高くなっている。当該比率は年々低下していたものの、令和2年度決算では前年度より悪化に転じた。近年は企業債償還額が起債額を上回り、令和2年度でも企業債残高は減少したものの、分母となる営業収益の減少が比率の上昇の要因となった。⑤経費回収率については、類似団体平均より低水準で推移しており、令和2年度では前年度より悪化を示している。使用料収入の落ち込みにより、一般会計繰入金への依存度が高まっていることを示しており、適正な収入の確保及び汚水処理費の抑制に努める必要がある。⑥汚水処理原価については、類似団体平均との比較では安価となっているが、今後もコスト削減及び水洗化率の向上等、有収水量の増加を図り、経営の効率化を進める。⑧水洗化率については、年々上昇している。令和2年度で類似団体平均まで0.16ポイントとしており、今後も普及啓発による未接続世帯の接続率向上など、適正な汚水処理を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
建設事業の着手から40年以上が経過しており、今後、施設の更新及び維持管理費用の増加が見込まれる。令和5年度に予定の公営企業法適用に併せ、ストックマネジメント計画を策定し、限られた財源の中で持続的、効率的に管理を行う必要がある。
全体総括
経費回収率、企業債残高対事業規模比率の数値改善に向けては、いずれも使用料収入の増加が重要な要素であり、使用料改定による安定した財源確保が求められる。併せて事業の精査による新規起債の抑制、維持管理にかかるコストカットや水洗化率の向上による収入増など、全体的な経営の効率化に取り組む必要がある。今後増加が見込まれる更新及び維持管理の経費についても、公営企業法適用やストックマネジメント計画の策定等、限られた財源を効率的に運用する手段を取り入れながら、持続的・計画的な管理に努める。