地域において担っている役割
病院群輪番制病院として医療圏内の救急医療の一翼を担うとともに、医療圏の急性期医療や、地域がん診療連携拠点病院としての高度医療、公立病院として民間病院では限界のある精神・結核・感染症・認知症疾患等の政策的医療を堅持している。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関と連携・協力を図ることで、地域の医療の質向上に努めている。
経営の健全性・効率性について
令和元年度経常収支比率では、前年度比で1.5ポイント減少した。これは、主に延べ患者数の減少に伴う入院・外来収益の減少により前年より収支悪化したものである。医業収支比率については全国平均を上回っているものの、100を超えるよう今後も一層の取り組みが必要である。累積欠損金比率は、平成29年度からの収支黒字の継続により累積欠損金は減少しているものの、医業収益が前年度より落ち込んだことにより、前年度より5.3ポイント上昇した。今後も収支改善を図り黒字経営を継続するため、医業収益の獲得に努めつつ、地域医療ビジョンとの整合性をとりながら、さらなる医療の質の向上と経営の安定に取り組む。病床利用率については全国平均並みであり、今後も新規入院患者の獲得に向け努めていく。入院患者1人1日当たり収益は、地域医療支援病院入院診療加算を取得したこと等により増加した。外来患者1人1日当たりの収益は、外来化学療法の患者が伸び悩んだこと等が影響し減少した。今後もさらに地域医療機関との連携を強化し、紹介患者の増加につなげることで収益増加を図っていく。職員給与費対医業収益比率では、正規医師、臨時医師の減により給与費自体は減少したものの、医業収益が落ち込んだため、前年度比で増加した。今後も適正な人員配置に努めていく。材料費対医業収益比率については、共同購入化や価格交渉、使用節減による診療材料費の減少や、薬品の払出の減少により、比率が低下した。今後も材料費の削減に取り組んでいく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率ともに、内視鏡下手術支援ロボットなどの新たな医療器械の導入や、空調関係の改良工事により、昨年度より低下しているものの、依然として全国平均、類似団体との比較で上回っており、平成12年度に建設した病院全体分のほか、建設と同時に導入した医療機器等の老朽化も顕著に表れてきている。今後はこれらに対する修繕も増大することが予想され、収支面では費用の増加が懸念される。1床当たり有形固定資産については、前年度から病床数に増減はないものの、内視鏡下手術支援ロボットの導入等があり微増したものと考えられる。今後も当院の財政規模を考慮し、施設等の投資計画の見直しを適切なタイミングで行っていく。
全体総括
収支状況については、医業収益が、入院・外来収益ともに減少となる一方、医業費用において、給与費が減少したことや、材料費を抑えることで純利益を計上した。結果、経常収支比率は100ポイントを上回ったものの、医業収支比率では、前年度より1.9ポイント減少している。収益面では、紹介・逆紹介を通じた新規入院患者の獲得等により入院患者1人1日当たりの収益を増加させ、医業収益を増やし、医業収支の改善を目指していく必要がある。費用面では、職員給与費対医業収益比率は類似団体並みとなっており、材料費対医業収益比率では、類似団体と比べポイントは低く抑えられているが、今後も継続して費用削減について検討していく。一方で、有形固定資産等の減価償却率は全国平均、類似団体比較でもはるかに高いポイントとなっており、今後は老朽化による修繕費の増加が懸念される。計画的な修繕の実行により費用を抑制しつつも、機器等の継続的・計画的な更新も実施し、当院の医療の質の維持・向上を図っていく必要がある。