地域において担っている役割
病院部門と福祉部門が複合した全国的に見ても稀な三次医療機関として、また、総合周産期母子医療センターとして、他の医療機関では診療が困難な患者を、他施設からの紹介を基本として県内外から受け入れて、多職種が連携して質の高い包括医療を提供している。本県で唯一の小児がん拠点病院として、小児がん治療の牽引役となって、小児がんの診療の質の向上に取り組んでいくことが期待されるなど、求められるニーズは高いものがある。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は入院患者数の減少により、平成27年度から平成28年度にかけて減少しているものの、常に100%を上回っている。③累積欠損金比率は過去5年間で発生していない。②医業収支比率および④病床利用率については、ICU及びNICUを効率的に運用することにより安定しているが、平成28年度は入院患者数の減少により前年より低い値となっている。⑤入院患者1人1日あたりの収益も同様である。⑥外来患者1人1日あたりの収益は、県内外から新規の小児がん患者を積極的に受入れ、緩和ケア外来、外来科学療法の外来診療を充実させた。⑦職員給与費対医業収益比率は給与費が増加傾向にあるものの、比率で見ると平均値を下回っている。⑧材料費対医業収益比率については、材料費と診療材料費の削減に努めている。
老朽化の状況について
平成28年度に周産期棟真空遮断器等更新工事、第三駐車場下大擁壁改築工事を行ったことにより、平成28年度の有形固定資産減価償却率の増加は緩やかになっている。高額医療機器は前年度に通年稼働した医療機器について、採算性や稼働状況を検証し、必要性の高い機器を優先して購入している。
全体総括
平成28年度は入院患者数が減少し、費用面では光熱水費等を圧縮したものの、給与費等が増加したため、経常収支、医業収支共に減少している。引き続き新規入院患者の受入体制強化や地域の医療機関との連携強化によって、効率的な病床運用を行い、収益の向上に努めていく。