経営の健全性・効率性について
平成31年4月から地方公営企業法を適用したことから、比較数値は前年度のみとなっている。経常収支比率については、黒字収支となり、累積欠損金は発生しなかったが、健全経営を続けていくために、更なる費用の削減等に取り組む必要がある。流動比率については、建設改良費等に充てられた企業債の償還が大きいため類似団体平均より低い結果となっている。企業債残高対事業規模比率については、比率が0%となっているが、これは一般会計を財源としているためである。なお、企業債残高は年々減少している。経費回収率については、類似団体平均よりも上回ったが汚水処理に係る費用を使用料以外の収入で賄う結果となった。汚水処理原価については、費用の削減等により類似団体平均よりも低い結果となった。施設利用率については、5割を切る利用状況にあり、今後も人口減少等による利用率の低下は避けられない状況にあることから、処理施設の統廃合等を検討する必要がある。水洗化率については、類似団体平均より高い結果となり、毎年微増となっている。
老朽化の状況について
整備が開始された昭和61年から35年以上が経過しているが、管渠については小口径の塩ビ管を使用しているため、標準耐用年数(50年)を超えるものはない。しかしながら、処理施設やマンホールポンプ等の機器及び計器類の老朽化が激しいことから、平成28年度より計画的な更新を行っている。今後急激に耐用年数を迎える資産が増えることから、施設の機能保持のため、令和2年度に最適整備構想を策定した。
全体総括
維持管理費の抑制に努めているものの、人口減少や節水意識の向上により使用料収入の大幅な伸びが期待できないことから、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況にある。企業債償還については、全額一般会計からの繰入により賄われているが、今後の企業債借入額を勘案しても、償還額は年々減少する見込みである。計画的な施設の更新・修繕等による費用の平準化に加え、人口減少等に対応した効率的な施設利用と維持管理費の削減のため、処理施設の統廃合を検討している。また、平成31年4月より地方公営企業法を適用したことにより、経営状況・財政状況を明確化し、健全な下水道経営に努める。使用料の見直しについては、下水道使用料との画一的な見直しが求められることから、慎重な判断が必要となる。