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自主財源の多寡を示す財政力指数は、この5年間、ほぼ横ばいで推移している。全国平均や県内平均を上回っているものの、類似団体との比較では平均を下回っている。これは、主要自主財源である市税の多寡によるところが大きく、特に個人市民税や固定資産税については、所得の差や市況の影響を受ける場合があることから、一朝一夕には解消されるものではない。今後とも、市税の徴収率の一層の向上に努めるなど、歳入の確保及び財政基盤の強化に努める。
経常収支比率は、全国平均を下回っている。国の制度に基づき支出される扶助費や公債費の増はあるものの、全体として前年比約1.7億円の減となり、経常収支比率は前年と同率となった。今後も扶助費の増および公債費の増が見込まれるため、第7次行財政改革大綱(令和2~7)に基づき、予算配分の重点化を図り経常経費の削減に努める。
人口1人当たりのコストは、全国平均や県内平均を下回っているものの、前年に比べて約2,000円増加している。これは、一部事務組合が行っている、ごみやし尿処理業務、消防業務等の業務に係る人件費等が負担金として支出されていることによるほか、人口そのものの減による影響が要因である。今後も指定管理者制度の導入など、民間委託をはじめとする様々な創意工夫を図り、限られた行政資源最適化・有効活用に努め、コストの低減に努める。
第4次及び第5次行財政改革大綱に基づいた定員管理の実施により、類似団体の中でも低い水準にある。今後も、行政需要に適切に対応する必要最小限の人員のもと、戦略的に職員を配置し、質の高い行政サービスの提供と、給与の適正化に取り組んでいく。
類似団体平均、全国平均、県内平均と比べ、かなり低い水準にある。これは、ごみ処理業務や消防業務を一部事務組合で行っているという要因があるものの、第4次行財政改革大綱に基づく定員適正化計画による職員削減(112人削減)と、第5次大綱に基づく定員管理に掲げる指標(平成27.4.1現在1,286人以下)による人件費抑制の影響が大きい。今後も第7次行財政改革大綱に基づき、各部局において見込まれる業務量に適切に対応し、適正な職員数の確保に努める。
実質公債費比率は、ここ5年間は減少傾向にある。要因としては、準元利償還金を含めた元利償還金の減少と、臨時財政対策債(交付税措置100%)などの交付税措置のある公債費の割合増加が挙げられる。類似団体との比較では比率が高くなっているが、公債費負担の多寡以外に、償還財源として都市計画税を設けていないことも要因と考えられる。今後とも、第7次八戸市行財政改革大綱で掲げた指標(18%以下)を遵守の上、公債費の負担が過度にならないよう留意した財政運営に努める。
将来負担比率は、前年に比べて4ポイントの増となり、類似団体平均を大きく上回っている。主な要因としては、各種経費の債務負担行為の設定や、大規模事業にかかる地方債残高の増傾向が挙げられる。今後当面の間は上昇傾向が見込まれるため、今後も行財政改革大綱の注目指標に掲げ、将来に渡って過度の負担とならないよう市債の発行額に留意し、事業実施の適正化を図りながら、安定した財政運営に努めていく。
人件費にかかる経常収支比率は、類似団体内順位で上位にあり、平均を大きく下回っている。要因としては、民間委託や指定管理の活用、第4次・第5次行政改革大綱に基づき組織・機構の合理化等を推進したことが挙げられるほか、ごみ処理業務や消防業務等を一部事務組合で行っていることが挙げられる。今後も、第7次行政改革大綱に基づき、人件費の抑制を図りながらも質の高い行政サービスの提供に努めていく。
物件費にかかる経常収支比率は、類似団体平均を下回る水準で推移しているが、平成29は中核市事務の影響により増加に転じた。今後も、第7次行政改革大綱に基づき、経常的な経費のスクラップアンドビルドを徹底しながら、比率の改善に努めていく。
扶助費にかかる経常収支比率は上昇傾向にある。国の制度に基づいた支出が主なものであるが、今後、生活保護費の増や高齢化の進行(高齢化率平成17:19.6%→平成26:26.6%)が、市財政に大きな影響を与えることが予想されるため、国の施策の動向を注視しながら適正な事業実施に努めていく。
その他にかかる経常収支比率が類似団体平均を上回る水準で推移しているのは、下水道事業などの公営企業(非法適)への繰出金が大きいためである。今後、下水道事業における使用料の確保など、引き続き収入の確保に努めながら、経常的歳出の削減に努めていく。
補助費等の経常収支比率が類似団体平均を上回る水準で推移しているのは、ごみ・し尿処理や消防業務等を周辺町村と共同処理するため、一部事務組合負担金を拠出していることが挙げられる。今後も、一部事務組合における手数料収入等の経常的な収入の確保に努め、負担金の増嵩につながらないよう留意していく。
公債費にかかる経常収支比率は、類似団体平均をやや下回ったものの、今後も大型施設整備(屋内スケート場建設、総合保健センター整備等)の償還が控えていることから、公債費の増加が見込まれる。今後、厳しい財政状況となることが予想されるため、引き続き財政的に有利な起債の活用等を図りながら、公債費の縮減に努めていく。
公債費以外の経常収支比率は、類似団体平均をやや下回った。経年で見ると72%前後で推移していたが、平成28の2.5ポイント上昇から上昇傾向にあった。主な要因として普通建設事業の増加が挙げられる。今後も、公債費以外の経常的収支の改善を図りつつ、全体の経常収支比率を押し上げている公債費の縮減に努めていく。
(増減理由)市民税の減収等により財政調整基金及び減債基金(市債管理基金)からの取崩額(16億円)が積立額(2.7億円)を上回った。また、館鼻公園整備事業等に伴い「震災復興基金」を1.2億円取り崩したこと、「地域振興基金」から乳幼児等医療費扶助費等に要する事業等のため2.8億円を取り崩したこと等により、基金全体としては8.6億円の減となった。(今後の方針)・財政調整基金及び減債基金(市債管理基金)については、社会情勢の変化による増減が見込まれるものの、第7次行政改革大綱に基づく事業の適正化等により合計で50億円程度を維持していく予定。・短期的には、屋内スケート場建設基金への積み立てにより増額の予定だが、中長期的には地域振興基金や連携中枢都市圏振興基金等の活用により減少傾向となる見込み。
(増減理由)財政調整基金は、固定資産税等の市税の減少や、施設型給付費等の扶助費の増加により取崩額が増加したため、前年に比べて減少した。(今後の方針)・大規模施設の建設事業等の影響により減少の見込みであるが、歳入に見合った財政運営や事業の適正化により、30億円程度を維持するよう積み立てていく予定。
(増減理由)減債基金(市債管理基金)は、償還のため8億円を取り崩したことにより、前年度に比べて減少した。(今後の方針)・令和2年度以降の数年間は地方債償還の増が見込まれるため、適切に管理、活用しながら、20億円程度を維持するよう積み立てていく予定。
(基金の使途)地域振興基金:合併前の旧団体毎の地域振興や住民の一体感情勢に資する事業の展開連携中枢都市圏振興基金:八戸圏域市町村住民の生活基盤の充実や、圏域への移住・定住促進に資する事業の実施(増減理由)震災復興基金:館鼻公園整備事業等の財源として1億1,900万円を取り崩したことにより減少屋内スケート場建設基金:県の補助金13億4千万円を積み立てたことにより増加(今後の方針)地域振興基金:総務省が定める基準に従い、前年度における市債の償還額に合わせて取り崩し、新市建設計画(平成17~36年度)に掲載されたソフト事業に活用協働のまちづくり推進基金:市民等からの寄附と同額(上限200万円)を上乗せして積み立てる「マッチング方式」により運用し、市民主体の活動に対する支援に活用
当市では、平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の適切な維持管理による長寿命化や、統廃合による施設総数の整理などの基本方針に基づく取組を進めているほか、それぞれの公共施設についても個別施設計画の策定を行っている。有形固定資産減価償却率については、類似団体平均と比較すると高い傾向にあり、今後も上昇が見込まれるため、上記計画に基づく適切な施設管理に努め施設の更新・除却を計画的に進めていく。
債務償還比率は類似団体平均を上回っており、主な要因として、平成26年度以降大規模施設の建設を計画的に進めており、主たる財源である地方債の発行及び残高が増加傾向にあることが挙げられる。大規模建設事業の終了後は、地方債発行の抑制や、事業の見直しによる経費の削減を進め、債務償還比率の改善に努めていく。
将来負担比率は企業会計への将来負担の減等により減少したものの、今後、大規模建設事業が続くことにより上昇すると見込まれる。類似団体と比較すると高い状況にあるが、これは都市計画税の税収が無いことや、都市機能整備などの建設事業が多いことによる。有形固定資産減価償却率についても類似団体よりも高い状況にあり、主な要因としては、昭和50年から60年頃に建設された学校施設や市営住宅の有形固定資産減価償却率が約65%であること、体育館・プール施設の有形固定資産減価償却率が68%を超えていることなどが挙げられる。今後は、公共施設等総合管理計画に基づき、適切な管理による施設の長寿命化や、計画的な更新・改修等の対策を進めていく。
実質公債費比率は、公債費への充当財源や普通交付税の減によりH30単年度では増加となっているが、H27単年度より減少となっていることから3か年平均値としては減少した。現在、大規模建設事業を進めており、財源的に有利な起債の活用を図っているものの、一定程度、将来負担比率・実質公債費比率が上昇すると推測される。類似団体と比較すると両比率ともに高い状況であるが、これは都市計画税の税収が無いことや、都市機能整備などの建設事業が多いことによる。今後も財政健全化指標を遵守し、事業実施の適正化を図りながら、安定した財政運営に努めていく。
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