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地方財政ダッシュボード

長崎県平戸市の財政状況(2020年度)

🏠平戸市

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

平成24年度から0.24の横ばいで類似団体や全国、県平均より低い水準で推移している。これは市内に大型事業所がなく、市の産業構造が中小企業や農林水産業を中心としていることに加え、人口減少により、歳入における市税の割合が低く、財政基盤が弱いことが要因である。そのため、交付税に大きく依存した財政構造である。今後とも、的確な課税客体の把握と徴収率向上に努め、自主財源の確保に努める。また、国・県補助金の活用など財源確保に努めるとともに、経常経費の削減による歳出抑制を行い、適正な財政運営を行う。

経常収支比率の分析欄

合併直後である平成18年度の99.2%と比較すると年々改善し、平成21年度以降は類似団体の平均を下回っており、令和2年度は前年度から2.8ポイント改善し88.3%となった。要因としては、歳入経常一財は市税や普通交付税が減額した一方、地方消費税交付金の増額もあり全体で0.3%の減に対し、歳出経常一財は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市外出張等の中止に伴う物件費の減額、また、これまでに積極的に実施してきた繰上償還の効果に伴う公債費の減額等により全体で3.3%の減となり、歳入経常一財の減少幅より、歳出経常一財の減少幅が大きかったことによるものである。しかし本市の経常収支比率は依然として高い状況であり、このため、財政構造の弾力性の確保のためには更なる改善が必要であり、今後も、市税等の徴収確保、定員適正化計画や行政改革推進計画、財政健全化計画に基づいた人件費、物件費の抑制、繰上償還の実施など財源確保と経常経費の抑制に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均に比べ高くなっているのは、本市の南北に縦長である地形や有人離島を有する等の地理的要因により行政機関(支所・出張所、教育関連施設、消防出張所等)を複数設置する必要があるため、職員数が多く、人件費が高くなることが要因である。人件費は、定員適正化計画の実施等により正職員数は減少しているものの、令和2年度から会計年度任用職員の報酬(令和01までは賃金(物件費)で計上)が加わったことにより増加しており、物件費は、賃金分が減少した一方、新型コロナウイルス感染症で冷え込んだ地域経済の対策として地域購買力回復事業(プレミアム商品券の発行)、特割宿泊キャンペーン等の実施により前年度からの微減に止まっている。今後も定員適正化計画を基に職員の適正配置に努めるとともに、公共施設等総合管理計画に基づく施設の集約化・複合化に着手し、公共施設等の適正管理に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体平均とほぼ同等で推移している。今後も本市の財政状況及び類似団体等の状況を踏まえながら、給与の適正化に努める。※ラスパイレス指数については、地方公務員給与実態調査に基づくものであるが、当該資料作成時点(令和4年2末時点)において令和3年調査結果が未公表であるため、前年度の数値を引用している。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

類似団体平均に比べ高い水準で推移している。これは人口は年々減少しているものの、本市の地理的要因により行政機関を複数設置せざるを得ないことが大きな要因である。今後も人口減少に伴う交付税額の減額等、厳しい財政運営が予想されることから、定員適正化計画に基づき、計画的な人員確保を行うとともに、定年引上げ等の制度を見据え、職の整理等を行いながら多様な任用制度を活用し、人件費の抑制に努める。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は年々減少しており、類似団体と比べても良好な状況を保っている。これは、これまでの計画的な繰上償還の実施や北松北部環境組合に対する公債費負担の減少が主な要因である。しかしながら、令和2年度に発行した新しいまちづくり基金積立に係る合併特例事業債の元金償還の開始、また、北松北部環境組合において平成29年度から実施した施設の長寿命化に対する地方債の元利償還金の開始に伴う負担金の増加により、今後は増加してくことが予想されるため、今後も計画的な繰上償還と交付税措置のある起債の借入れを行いながら、将来的な公債費負担の抑制に努めていく。

将来負担比率の分析欄

減少傾向にあった将来負担比率は平成27年度以降発生していない。これは計画的な繰上償還と財政調整基金を始めとした基金残高の確保によるものである。令和2年度は新規発行により地方債残高自体は増加し、将来負担額は増加しているものの、減債基金積み立てによる充当可能基金の増加及び基準財政需要額算入見込額の増加に伴い、前年度からさらに改善している状況である。今後も計画的な繰上償還の実施や経常経費の削減を図るなど行財政改革を進め、財政の健全化に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

定員適正化計画を上回る職員数の削減(退職不補充、早期退職促進)等により人件費の抑制が図られているものの、令和2年度は会計年度任用職員制度が導入されたことにより、対前年度比1.6ポイントの増となった。類似団体と比較すると人件費に係る経常収支比率は低くなっているが、定員適正化計画により職員数の削減が進む一方で、会計年度任用職員は増加傾向にあることから、今後は職員数と同様に適正化を図っていく必要がある。

物件費の分析欄

類似団体平均をやや下回っているものの、公共施設等の維持管理経費や各種機器等の保守点検業務経費の増により年々増加傾向にある。令和2年度は、会計年度任用職員制度が導入されたことにより、これまでの賃金が報酬となり人件費に振り替えられたことから、一時的に減となっているものの、今後も燃料費等の高騰や委託費の増等により増加が見込まれるため、維持管理経費や内部管理経費について徹底した見直しを行い、物件費の抑制に努める。

扶助費の分析欄

類似団体や全国、県平均を下回り、年々上昇傾向にあったが、令和2年度は対前年度比1.1ポイントの減となった。主な要因としては、保護世帯数の減少による生活保護費の減、幼児教育・保育無償化による保育給付事業費の減及び障害者自立支援給付費の減等があげられる。扶助費については、高齢化や景気低迷などの社会情勢により増加していくことが予測されるため、今後も資格審査等の認定や給付の適正化により、急激な上昇傾向を抑制するよう努める。

その他の分析欄

近年は類似団体や全国、県平均より低い状況で横ばいに推移している。経費の内訳としては、国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険等の特別会計への繰出金が主なものである。平成28年度より介護予防・日常生活支援総合事業の開始に伴う介護保険(事業勘定)の繰出金の増等により増加、令和2年度も高齢化の進行に伴い介護給付費がふえており高い水準となってる。これら特別会計への繰出金については大部分が一般財源で賄われているため、歳入確保や医療費などの抑制を図るとともに、保険料などの適正化による経営の健全化を図り、普通会計の負担額を減らしていくよう努める。

補助費等の分析欄

年々減少傾向にあり、令和元年度からは類似団体平均より低い水準となっている。これは本市と近隣市の2市で構成するごみ・し尿処理を行う一部事務組合(北松北部環境組合)に対する建設改良、公債費および運営における負担金の減や、水道事業繰出金の減が要因で全体で0.3ポイントの減となった。本市の場合、一部事務組合及び企業会計への負担金や繰出金が大半を占め、この負担金等には公債費が含まれているため、今後も以前と同程度の高い水準で推移すると見込まれる。引き続き、適正な額の精査に努め、補助費等の抑制を図る必要がある。

公債費の分析欄

類似団体や全国、県平均より高い数値ではあるものの、任意の繰上償還などにより、年々減少傾向にある。これまで積極的に活用してきた合併特例事業債が令和2年度で終了し、それに代わる有利な起債が見込めないことから、今後は事業を厳選するとともに、実施計画計上の事業との整合性を図りながら適切な地方債を選択する必要がある。併せて、発行額全体と地方債の元利償還額とのバランスを図りながら、将来を見据えた財政運営を行い、後年度の公債費の縮減を図るよう努める。

公債費以外の分析欄

近年は類似団体や全国、県平均を下回って推移しており、令和2年度は前年度より1.5ポイント減少した。要因としては、生活保護費等の扶助費の減が最も大きくなっている。市税収入の少ない本市は国庫補助、地方交付税などに依存した財政構造であり、その影響が財政指標に直結している。このため、今後も国の動向を注視しながら、事業の点検や見直しなどを行い、経常的な歳出の抑制に努めていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は、住民一人当たり269,131円となっており、新型コロナウイルス対策として実施した特別定額給付金事業等の影響により前年度の約2.1倍と大きく増加している。また、ふるさと納税の推進の相まって引き続き類似団体、全国及び県平均を上回っている状況にある。民生費は、住民一人当たり232,518円となっており、障害者支援関係や子育て支援等の社会保障関係経費の増加により年々右肩上がりで増加している。加えて、令和2年度は、保育所、放課後児童クラブ等の施設整備を実施したため、類似団体、全国及び県平均を上回っている状況にある。衛生費は、住民一人当たり77,613円となっており、類似団体や全国、県平均を上回っている状況で推移している。これは、北松北部環境組合への負担金が大きな割合を占めており、令和2年度から新たに将来の施設廃止に係る経費に充当するための基金積立分の負担が開始したこともあり前年度より増加している。農林水産業費は、住民一人当たり73,534円となっており、類似団体や全国、県平均を上回っている状況で推移している。農林水産業は本市の主要産業であるため担い手育成や経営規模拡大等に力を入れているためであり、前年度に比べ増となった要因は新型コロナウイルス対策として事業者支援を臨時的に実施したためである。商工費は、住民一人当たり54,492円となっており、観光業振興のため近年増加傾向にあり、令和2年度は新型コロナウイルス対策の飲食店等時短要請協力金事業や地域購買力回復事業(プレミアム商品券)等の実施により、さらに前年度を大きく上回った。教育費は、住民一人当たり67,948円となっており、前年度に比べ、減に転じた要因は、令和元年度実施した学校施設空調設置事業、生月町中央公民館移転改修事業などの大型の建設事業終了の影響であり、類似団体、全国及び県平均を下回った。公債費は、住民一人当たり122,838円となっており、類似団体や全国、県平均を上回っている要因は、これまで大型建設事業実施のために合併特例債を積極的に活用したことによる定時償還額の増加に加え、後年度の負担軽減を図るために任意の繰上償還を計画的に実施しているためである。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費は、住民一人当たり119,367円となっており、類似団体や全国、県平均と比べ高い状況で推移している。これは本市の地理的要因により類似団体と比べ職員数が多いことが要因である。定員適正化計画の実施に伴い職員数は減少しているものの、会計年度任用職員制度の導入や人口減少等の影響により前年度に比べ増加した。物件費は、住民一人当たり105,963円となっており、類似団体や全国、県平均と比べ高い状況にある。これはふるさと納税推進事業によるものが大きく影響しているが、前年度に比べ上回っている要因は、会計年度任用職員制度導入による賃金分の減少より、新型コロナウイルス感染症で冷え込んだ地域経済の対策として地域購買力回復事業(プレミアム商品券の発行)、特割宿泊キャンペーン等の実施による増加の方が大きかったためである。扶助費は、住民一人当たり146,852円となっており、類似団体に比べ高く右肩上がりで増加しており、平成27年度と比較すると約1.1倍の伸びとなっている。障害者支援関係事業等の増が大きな要因であるが、扶助費の多くは法令等の規定により支出が義務付けられており縮減が容易でない経費である。補助費等は、住民一人当たり207,420円となっており、類似団体や全国、県平均と比べ高い状況で推移しており、さらに令和2年度は前年の約2.3倍となっている。これは新型コロナウイルス対策として臨時的に実施した特別定額給付金事業や、事業者支援給付金事業等の影響である。普通建設事業費は、住民一人当たり146,490円となっており、令和元年度から令和2年度にかけて平戸城や文化センター等の施設の大規模改修等大型建設事業の執行が多かったことから増加したものである。そのため、更新整備が平成30年度より大きく上昇しており、類似団体と比べ住民一人当たりのコストが高い状況にある。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

財政調整基金残高は、適切な財源の確保と歳出の精査により、平成23年度以降取崩しを回避しており、令和2年度は4,593千円の積立を行った。基金については、持続可能な財政運営を行うために、国の動向を注視しながら、積立や活用を行っていく予定である。実質収支比率については、令和元年度までほぼ横ばいで推移していたが、令和2年度については災害復旧事業に係る国庫支出金等の交付が次年度以降へ繰り越した影響等があり、前年度比1.28ポイント減、実質単年度収支も1.51ポイントの減となった。今後は人口減少により地方交付税の減額も予想されるため、市税ほか歳入を適正に確保するとともに、歳出抑制を図りながら標準財政規模と財政調整基金のバランスを考慮した健全な財政運営に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

前年度に引き続き、全会計にて黒字となっており、各会計とも適正な財政運営が図られている。病院事業会計は前年度に比べ1.51ポイント改善しているが、これは新型コロナウイルス関連補助金による影響で一時的なものであり、今後医師不足による経営悪化が懸念されるため、令和4年度に策定予定の新改革プランに経営改善策を掲げ、さらなる経営の健全化を図っていく。一般会計においても「平戸市財政健全化計画(平成25~令和5年度)」等の着実な実施により、徹底した経費の節減と効率的な事業執行に努め、健全な財政運営を進めていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

実質公債比率の3か年平均は年々減少傾向にある。元利償還金等(A)に関しては、前年度と比較して282,649千円減少し、中でも減少幅が大きかったものは、地方債借入額の抑制や繰上償還の実施などにより元利償還金が182,738千円の減、そして組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等が北松北部環境組合における地方債償還が令和元年度で終了したことによる54,509千円の減である。また、控除財源である算入公債費等(B)に関して、現在、活用している地方債は、交付税措置率が高い有利なものが中心としているが合併特例事業債の発行可能額が減少していることもあり、前年度に比べ54,031千円の減となった。分子合計は前年度と比較し、228,618千円の減額となり、令和元年度の実質公債比率は令和元年度より1.7ポイント低く3.0%となった。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

将来負担比率は平成27年度以降発生していない。将来負担額(A)に関して、一般会計等に係る地方債の現在高は、地域総合整備資金貸付事業債や新しいまちづくり基金の積み増しに係る合併特例債の発行により、償還を上回る地方債の発行を行ったため、前年度と比較して830,744千円の増加となった。債務負担行為に基づく支出予定額については、平成27年度に融資償還助成金の繰上償還を実施したことにより発生していない。また、公営企業債等繰入見込額については、水道事業及び病院事業に係る新規発行債の減少や、工業団地事業において用地完売による企業債の全額繰上償還もあり全体で184,990千円減少した。控除財源である充当可能財源等(B)に関しては、積立による充当可能基金の増289,063千円をはじめ、全体で619,894千円増加し、将来負担比率は、前年度に引き続き発生していない。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)増加した基金の主なものは、新しいまちづくり基金と「やらんば!平戸」応援基金で、新しいまちづくり基金は、合併特例債を活用した積み増し792,395千円及び利子等1,248千円の積立てにより793,643千円の増加、「やらんば!平戸」応援基金は、寄附金自体は前年度より減少したものの、事業への繰入額(総合戦略に掲げる最重点主要施策へ充当)が減少したことから積立金残高が243,043千円増加し、令和2年度末の残高は3,462,274千円となり、基金全体の約28%を占めている。また、減少した基金の主なものは減債基金で、工業団地事業の宅地完売による地方債全額繰上償還に伴い294,816千円を取り崩したことが要因であり、任意の積立金等と差し引き94,816千円の減となった。基金全体としては、令和2年度末の基金残高は12,336,209千円で、前年度と比較して増となった。(今後の方針)持続可能な財政運営を行うために、国の動向を注視しながら積立や活用を行っていく予定である。また、定期預金等の利率が低下している状況を踏まえ、基金を原資とした各種債権の購入等、運用方法を検討し有効活用を図る。

財政調整基金

(増減理由)利子等4,593千円の積立てにより増加した。(今後の方針)財政健全化計画に基づき、財政調整基金の残高が、令和5年度末時点で標準財政規模の20%程度、27億円の確保に努める。

減債基金

(増減理由)繰越金による任意積立金150,000千円及び利子等3,497千円の積立てにより増、工業団地事業の宅地完売による地方債全額繰上償還に伴う繰入れで294,816千円の減、これにより前年度から基金残高は減少した。(今後の方針)財政健全化計画に基づき、縁故債について普通交付税の算定替と一本算定の乖離額の範囲内で繰上償還を実施してきたが、今後も後年度の負担軽減を図るため、減債基金を活用し計画的な繰上償還の実施を検討している。また、同計画に基づき、減債基金の残高について令和5年度末時点で市債残高の10%程度、27億円の確保に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・「やらんば!平戸」応援基金:ふるさと納税による寄附金を原資とし、産業の振興と人口減少抑制に取り組む施策の推進・新しいまちづくり基金:平戸市、生月町、田平町及び大島村の合併に伴う、市民の一体感の醸成と地域の個性あるまちづくり推進・ひらどふれあい福祉基金:地域における福祉活動の促進、快適な生活環境の形成及び保健福祉の増進・ひらど生き活きまちづくり基金:市民が夢とゆとりをもっていきいきと暮らす活気みなぎるまちを目指し、地域の特性を生かしたまちづくり推進・再生可能エネルギー活用離島活性化基金:本市の自然環境が生み出す再生可能エネルギーを活用し、離島の特性を活かしたまちづくりと産業振興(増減理由)・「やらんば!平戸」応援基金:寄附金び利子850,786千円の積立てによる増加と総合戦略に掲げる最重点主要施策に607,743千円を充当。・新しいまちづくり基金:合併特例債を活用した積立金792,395千円及び利子等1,248千円の積立てによる増加。・ひらどふれあい福祉基金:利子等2,178千円の積立てによる増加と高齢者いきいきおでかけ支援事業等に18,695千円を充当。・ひらど生き活きまちづくり基金:利子等35千円の積立てによる増加と協働によるまちづくり支援事業やにぎわいづくり支援事業等に5,010千円の充当。・再生可能エネルギー活用離島活性化基金:利子等12千円の積立てによる増加と離島航路対策関係等に19,763千円の充当。(今後の方針)各基金の目的に応じ、基金活用に応じた効果的な予算配分を行うよう努め、国の動向を注視しながら積立や活用を行っていく予定である。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

当市では、平成29年3月に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設の量や質の適正化により、更新費用を約40%削減するという目標を掲げ、老朽化した施設の統廃合や複合化、長寿命化を進めている。有形固定資産減価償却率については、年々上昇傾向にはあるものの、令和2年度は58.5%で類似団体平均を下回っている。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率については類似団体平均を下回っている。これは地方債の新規発行の抑制や既発債の繰上償還、充当可能基金の増加によるものである。今後も、必要に応じた繰上償還や交付税措置が有利な起債の活用を行いながら、将来的な負担の抑制を図る。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

地方債の新規発行の抑制や既発債の繰上償還、充当可能基金の増加により、将来負担比率はマイナス算定となっており、類似団体と比較して低い水準にある。有形固定資産減価償却率については、類似団体とほぼ同水準で推移しているが、建築後30年を経過した施設が全体の40%以上あるため、引き続き施設の適正管理を進めていく。今後、老朽化した施設の更新等による財政負担が懸念されることから、公共施設等総合管理計画に基づき、効率的・効果的な公共施設等の管理に取り組むとともに、将来的な財政負担の軽減を図る。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率及び実質公債費比率について、ともに類似団体と比較して低い水準にある。将来負担比率の低下傾向の要因としては、既発債の繰上償還・新発債の発行抑制により地方債残高が減少傾向にあることや、財政調整基金などの積み立てにより充当可能基金が確保されていることなどが考えられる。また、実質公債費比率の低下傾向の要因としては、これまで実施してきた既発債の繰上償還の影響により元利償還金が抑制されたことや、一部事務組合地方債償還のための負担金が減少したことなどが考えられる。将来負担比率が低下傾向にあるため、実質公債費比率についても、低下傾向で推移するものと見込まれるが、交付税への依存度が高いため、今後の交付税制度次第では上昇していく可能性がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、認定こども園・幼稚園・保育所である。その要因については、保有する施設の半数以上が築30年以上を経過しているためである。児童館の有形固定資産減価償却率が100%となっているのは、当該施設が築50年以上経過しているためである。今後の利用児童数の動向等を考慮しつつ、整備計画を策定し、施設の耐震化や老朽化した施設の適切な維持保全に努めていく。インフラ施設のうち、港湾・漁港の一人当たり有形固定資産(償却資産)額が類似団体平均を大きく上回るのは、市内に18の漁港を有するためである。平成29年度に橋りょう・トンネルの有形固定資産減価償却率が低くなっているのは平成29年度において固定資産台帳の再整備を行い、数値の修正を行ったためである。公民館の直近2年の有形固定資産減価償却率がやや減少しているのは、市内公民館について令和1年度に改修工事を実施し、また、令和2年度に新築工事を実施したためである。今後は人口の将来見通しや更新費用等の増大などの課題を踏まえると、現在の維持管理のあり方を今後も継続していくことは困難と考えられることから、量的、質的な適正化を図るとともに、適切な維持管理に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、体育館・プールである。これは、保有する4施設のうち3施設が築30年以上経過しているためである。令和2年度に市民会館の有形固定資産減価償却率が大きく減少しているのは、令和1年度から令和2年度にかけて施設の大規模改修を実施しており、令和2年度に完了したためである。令和2年度に消防施設の有形固定資産減価償却率が減少しているのは、令和2年度に消防署の建替えが完了したためである。今後も利用者数の動向等を注視しつつ、整備計画を策定し、施設の耐震化や老朽化した施設の適切な維持保全に努めていく。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から13億5,800万円の減少(△0.9%)となった。金額の変動が大きいものはインフラ資産と基金であり、インフラ資産は、道路、漁港等整備の実施による工作物資産の取得額(+10億2,500万円)に対し、減価償却による資産の減少が上回ったこと等から33億100万円減少し、一方、基金は、新しいまちづくり基金の積み増しやふるさと納税寄附金を原資としたやらんば!平戸応援基金の積み立て等により、その他基金(固定資産)が10億200万円増加した。特別会計、水道事業会計、病院事業会計等を加えた全体では、資産総額は前年度末から17億4,600万円減少(△1.0%)し、負債総額は前年度末から6,600万円増加(+0.1%)した。資産総額は、水道、病院施設等の固定資産を計上していること等により、一般会計等に比べて218億8,600万円多くなるが、負債総額も水道管の整備や医療機器等の整備に地方債(固定負債)を充当していること等から、142億1,700万円多くなっている平戸市振興公社、長崎県後期高齢者医療広域連合等を加えた連結では、資産総額は前年度末から18億5,800万円減少(△1.1%)し、負債総額は前年度末から1億7,300万円減少(△0.4%)した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等において、経常費用は266億9,800万円となり、前年度比40億900万円の増加(+17.7%)となった。主な原因としては、新型コロナウイルス感染症対策に伴う特別定額給付金事業を行ったこと等により、移転費用の中の補助金等(前年度比+35億7,600万円、+15.8%)が増加したためである。また、臨時損失である災害復旧事業費が前年度比7億2,300万円の増加(+223.1%)となったことにより、純行政コストは純経常行政コストよりも7億5,700万円多くなっている。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益における使用料及び手数料の金額が23億9,400万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が71億2,100万円多くなり、純行政コストは86億1,200万円多くなっている連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が28億8,400万円多くなっている一方、移転費用の補助金等が142億100万円多くなっているなど、経常費用が169億6,900万円多くなり、純行政コストは144億2,700万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(251億6,300万円)が純行政コスト(272億3,700万円)を下回っており、本年度差額は20億7,400万円のマイナスとなり、純資産残高については20億7,600万円減少となった。これまで整備してきた施設等の減価償却費が純行政コストに含まれており、近年、施設の集約化・複合化を行っていく中で純資産が減少する要因となっている。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等を含む財源が87億5,400万円多くなっているが、その他行政コストについても一般会計と比べて86億1,200万円多くなっており本年度差額は19億3,200万円のマイナスとなり、純資産残高は18億1,200万円の減少となった。連結では、長崎県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて税収等を含む財源が143億1,300万円多くなっているが、その他行政コストについても一般会計と比べて144億2,700万円多くなっており本年度差額は21億8,800万円のマイナスとなり、純資産残高は16億8,500万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は25億9,300万円であったが、投資活動収支については、基金積立金支出が前年度より10億7,700万円増加したこともあり、36億3,400万円のマイナス、財務活動収支については、新しいまちづくり基金積立等に係る市債借入額の増額等により地方債等発行収入が地方債の償還支出を上回ったことから、7億8,700万円のプラスとなった。収支トータルでは2億5,500万円のマイナスとなり、本年度末資金残高は5億7,900万円(前年比△30.5%)となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より9億8,300万円多い35億7,600万円となっている。投資活動収支については国民健康保険特別会計において大島診療所・大島歯科診療所建設事業を実施したため38億500万円のマイナス、財務活動収支については工業団地事業特別会計の繰上償還により地方債の償還が増加したため1億6,500万円のプラスとなっており、本年度末資金残高は前年度から6,400万円減少し、29億5,100万円となった。連結では、業務活動収支は一般会計等より9億4,800万円多い35億4,100万円となっている。投資活動収支については一部事務組合(退職手当)で基金取崩を行ったことから35億7,200万円のマイナス、財務活動収支については1億4,900万円のマイナスとなった。本年度末資金残高は前年度から1億2,500万円増加し、34億4,900万円となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額(歳入額対資産比率)は、合併前に旧市町毎に整備した公共施設が現存するため、保有する施設数が比較的多く、類似団体平均を上回っている。歳入額対資産比率(年)が令和2年度において減少しているが、これは新型コロナウイルス感染症関連の国県補助金が大きく増加したなど歳入総額が増加したためである。令和2年度においても道路や漁港などの施設整備により、有形固定資産の総額は前年度末に比べて31億9,400万円増加している。また、令和2年度の有形固定資産減価償却率は、有形固定資産が類似団体と比較して多いことから4.9ポイント低い値となっているが、将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、平成29年3月に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより、施設保有量の適正化に取り組む必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は例年、類似団体平均を上回って推移しているが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症関連事業の実施等により純行政コストが税収等の財源を上回ったため純資産が減少し、昨年度から20億7,600万円減少している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が費消して便益を享受したことを意味するため、「平戸市行政改革推進計画」に基づく取組みなどにより、行政コストの削減に努める必要がある。社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、例年、類似団体平均を下回っているが、令和2年度は類似団体と同様、前年度末と比べて増加している。これは新しいまちづくり基金の積み増し等による地方債発行額の増額により、地方債残高が大きく増加したためである。今後は地方債発行額の抑制を行うとともに、交付税措置がある有利な地方債を活用し、将来世代の負担の減少に努める必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは前年度に比べて17.4ポイント増加し、例年類似団体平均を大きく上回っている。これは、令和2年度に行政コストのうち補助費等が大きく増加しているためで、類似団体においても同様に増加している。行政コストのうち減価償却費を含む物件費等が多くの割合を占めており、類似団体と比べて住民一人当たり行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。減価償却費については56億8,500万円と高く、継続して実施してきた社会資本整備によるものである。施設に係る維持補修費等について、財政運営を圧迫しないよう今後は財政規模に応じた適正な施設の整備を計画し、行政コストの削減に努める必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は前年度から44千円増加しているが、これは令和2年度の地方債発行額の増額により、負債の大部分を占める地方債残高が大きく増加したためである。また、例年、類似団体平均を大きく上回っているが、これは本市が類似団体と比べて地方債残高が多いことが言える。基礎的財政収支は、支払利息支出を除いた業務活動収支の黒字が基金の取崩収入及び基金積立支出分を除いた投資活動収支の赤字分を下回り、5,800万円の赤字となり、令和2年度では類似団体平均を下回っている。投資活動収支の赤字が拡大しているのは、令和2年度で地域総合整備資金貸付事業に係る貸付金支出が3億円増加したためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は例年、類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。今後は、令和2年12月に策定した「受益者負担の適正化に関する指針」に基づき、適正な受益者負担の原則に立って、各種施設の使用料等の見直し等を行い、維持管理経費に充当する使用料・手数料などを確保する必要がある。経常費用について前年度から40億900万円増加しており、これは新型コロナウイルス感染症関連の事業実施により移転費用のうち補助費等が大きく増加したためである。今後は、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の集約化・複合化や長寿命化を行うことにより、経常費用の削減に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,