地域において担っている役割
地域中核病院の機能として、専門的症例や救急患者等受入れ、地域の医療機関との連携による総合的な医療の提供を行っている。二次医療圏においては、主にがん診療、小児・周産期医療、救急医療を担っており、救急医療においては、365日24時間体制で救急患者の受入を行っている。なかでも小児救急は当院小児科医に加え、市医師会および大学医学部等の応援をうけ小児科医が常駐する救急医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
効率性については、診療単価の向上を目指し目標設定を行い、診療報酬制度への適切な対応に努めている。また、重症度の高い患者と幅広い症例の受け入れ、精緻で適切なDPCコーディングや効率的な入院医療を実践し、DPC制度の機能評価係数を高める対策を講じている。健全性においては、新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、医業収支比率はは92.3%とマイナスであるが、経常収支比率はコロナ患者受け入れに伴う補助金等により108.4%と大幅なプラスとなった。全て平均値以上であり概ね良好な経営状況である。
老朽化の状況について
築40年以上経過しており施設設備は老朽化が著しいため①有形固定資産減価償却率は平均値を大きく上回っている。現在、2025年の開院に向け新病院建設事業を進めており、令和3年度より本体建設の着工を予定している。②機械備品減価償却率についても、新病院へ新たに医療機器等を整備する必要があるため、現病院においての高額及び大型の医療機器等の更新は、様々な状況判断のうえ行っているため、償却率が高くなる傾向にある。③の1床当たりの有形固定資産は、建物の償却が終了しているため低い状況にある。
全体総括
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により診療制限やコロナ病床確保等により、大幅に病床利用率が低下し医業収益も大幅な減収となっている。コロナ後の対策として、引き続き地域の医療機関との連携強化を図り、効率的な病床運営を行い収益確保に努めていく。新病院建設においては、新型コロナの影響により建築資材が高騰し、新病院建築費が当初予定より大幅に増加している。今後、診療費の伸びがそれほど期待できない状況から、設備投資や建築費償還等が課題となるため、より一層の経営努力と様々な社会情勢の変化に対応した病院経営が課題となる。