経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については,100%未満ではあるが,平成27年度までは右肩上がりで100%に近づいたため,経営改善に向けた取組が成果を上げていると思われたが,平成28年度は減少したため,さらなる経営改善に向け取り組む必要がある。企業債残高対事業規模比率については,経年では横ばいとなっており,類似団体平均値との比較でも50%程度ではあるが,今後も施設の老朽化により改築更新事業が続くので,企業債の借入の必要があるため,経営改善を図っていく必要がある。経費回収率については,経年で比較すると横ばいで,類似団体平均値を上回ってはいるが100%以下であり,汚水処理に係る費用が使用料以外の収入により賄われていることになるため、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。汚水処理原価については,経年では横ばいで類似団体平均値と同程度であるが,維持管理費の削減や接続率の向上による有収水量を増加させる取組といった経営改善が必要である。施設利用率については,平成26年度に変更認可申請を行い全体計画を見直したことで,倍近い利用率となったため類似団体平均値を上回っており,施設規模は適正だと判断される。水洗化率については,経年比較では微増が続いているが,類似団体平均値を下回っているため,関係団体との連携を強化してPRを積極的に行い,未接続の世帯及び水産加工場の接続を推進することで,下水道使用料収入の増加に繋げ,経営の安定化を図っていく。
老朽化の状況について
管渠については,布設から30年以上経過した箇所もあり老朽化が進んでいるため,管渠等の延命化のために,平成28年度と平成29年度で経過年数30年以上の管渠・マンホール等の調査を行い,ストックマネジメント基本計画を策定しているところである。平成30年度に策定予定の終末処理場のストックマネジメント基本計画及び平成27年度に策定した松之尾汚水中継ポンプ場の長寿命化計画と合わせて,平成31年度に下水道施設全体のストックマネジメント基本計画を策定予定である。平成30年度には認可区域内の面的整備は完了する見込であり,それ以降はストックマネジメント基本計画に基づき老朽化した管渠等の更新事業を計画的に実施していく。
全体総括
経営健全化対策の取組として,処理施設等の改築更新等によるライフサイクルコストの縮減を図る。さらに,処理場管理の効率化・コスト縮減を図るため施設運転業務を,平成29年6月から電気・水道等の光熱水費,補修費等を含んだ包括的委託に移行することによる維持管理費の削減を図る。整備事業については,引き続き早期完成に向けて計画的に実施していく。また,下水道使用料については,平成23年1月に料金改定を行ってから,料金改定は見送っている状況である。しかし,収益的収支比率及び経費回収率が100%を下回っていることから,適正な使用料収入の確保のために,接続推進に加え使用料の改定についての検討を行うなど,経営改善に向けた取り組みが必要である。