経営の状況について
本事業の経営状況としては、これまでに計画時の想定を上回る収支を計上しており、極めて良好である。特に、平成26年度までは落雷事故等に伴うブレード修繕を製造元である海外メーカーに直接委託していたが、平成27年度から国内業者に切り替えたことで修繕費の大幅な削減が図られ、結果近年の経営状況は特に良好である。収益的収支比率と営業収支比率は大規模修繕を行った平成26年度に共に大きく落ち込んでいるが、黒字となる100%の数値は切っておらず、また一般会計からの繰り出しも無く健全な運営を持続している。供給原価は平成26年度まで全国平均より高額になっていたが、翌年度以降は平均よりも安価になっている。全国平均が毎年度上昇し続けているのに対して当設備は27年度に前年度よりも数値を改善させたことが特徴的である。翌28年度は故障による運転停止期間が27年度より大幅に増えたため原価上昇となっている。EBITDAは平成27年度からは30,000千円程で推移している。全国平均が大幅に下降している中、本事業は成長傾向では無いものの一定の数値を維持している。
経営のリスクについて
設備利用率は全国平均並みに20%前後で推移している。落雷事故により長期間運転停止を余儀なくされた平成28年度は17.2%と、2001~2005年に設置された陸上風力発電(20kW以上)の平均設備利用率(「電源種別(太陽光・風力)のコスト動向等について」平成28年11月資源エネルギー庁、当該設備は2004年設置)17.5%を下回っているものの、平均して高い水準で推移している。今後も同水準で推移していくと想定される。修繕費比率は、大規模修繕を行った平成26年度が特に高いが、過去5年間は全国平均と比較して16%程度低い。ただし、設置から12年が経過しており、全体的に施設の老朽化が見受けられ、今後は修繕費比率の上昇が懸念されるが、単年度収支に影響はあるものの、剰余金に与える影響は少ないと想定される。企業債残高対料金収入比率は、堅実に低下しており、全国平均とほぼ同様な推移となっている。企業債の償還は料金契約期間内である平成31年度で満了となるため、償還財源の確保に支障はないと想定される。FIT収入割合は100%と固定価格買取制度に完全に依存した状況であるが、平成31年度末には企業債の償還が終わるため、以降料金契約期間満了となる平成37年6月30日までは大幅な黒字が期待される。
全体総括
これまでの経営状況は上述のとおり良好であった。加えて、料金契約期間内である平成31年度には企業債の償還期間が満了となるため、以降料金契約期間満了までの間の業績見通しは極めて明るい。今後、策定を予定している経営戦略のなかで、料金契約期間満了後の経営について検討する必要があり、事業を継続する場合は、施設の延命化に要する費用等、必要な経費を十分に考慮した上で、判断する必要がある。FIT適用終了後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていないが、今後策定を予定している経営戦略において、FIT終了による電力料収入の変動リスクも踏まえ検討することとしている。