地域において担っている役割
救命救急センターを併設する南予地域の急性期基幹病院として二次・三次救急医療を実施しており、圏域の救急医療体制の中核である。加えてがん診療や災害医療をはじめとする政策的医療や結核・感染症医療等の不採算医療を担っているほか、地域で唯一の総合病院として多様な疾病に対応している。また、臨床研修病院として医療福祉に貢献できる人材育成を行っている。
経営の健全性・効率性について
職員数の増加による給与費の上昇や高額な薬品の使用量が増加したことによる材料費の上昇などにより医業損失が発生しているものの、経常収支では黒字を確保している。累積欠損金の状況は類似団体と比較しても非常に良好であるものの、退職手当引当金の計上不足額を当年度まで分割計上していたため欠損金が増加しているが、翌年度以降は増加幅が縮小する見込みである。入院単価が類似団体と比較して約6,000円低いのは、看護配置基準が当院10対1に対して同規模病院は多くが7対1であることが要因と考えられる。一方で病床利用率は類似団体よりも高い水準にあり、収益ベースとしては類似団体より高い水準にある。
老朽化の状況について
当院は平成21年度に改築しており、減価償却率は全国平均、類似団体と比較しても低い状況にあるが、年々償却していく中で比率の差がなくなってきている。一方で器械備品は医療機械の耐用年数は概ね6年前後であり、改築後に整備した機器の更新時期がきている。器械備品減価償却率は類似団体よりも7%程度高い水準にあるものの、医療機械については専門の職員による管理のもと予防保全等の長寿命化策を講じ、安全かつ効率的な運用を行っており、長期的な投資計画をまとめた上で優先順位を基に毎年度見直しを行いながら整備している。
全体総括
平成30年度決算においては概ね良好な経営状況であるといえる。給与費、材料費などの費用が増加しているものの、収益の増加により大幅な減益には至っていない。今後については、地域医療支援病院の取得など、収益増加策を講じる一方で、慢性的な職員不足による労働環境改善を行い医療従事者の確保に努めていくこととしている。また、地域の医療ニーズに応えるために計画的・効率的な設備投資を行い、安全安心な医療の提供と安定的な利益確保を目指す。今後、少子高齢化による人口動態の変化が及ぼす医療需要の変化に対応するため、地域医療構想に基づく医療機能の見直しを検討しつつ、引き続き南予地域の中核病院としての責務を果たしていく。