経営の健全性・効率性について
本町においては人口の緩やかな増加により、使用料収入が毎年微増している。平成28年度についても、商業施設の出店に伴い、有収水量及び使用料収入は増加しているが、汚水処理原価の微増により、収益的収支比率、経費回収率は共に微減している。しかし、経費回収率は100%を超えており、汚水処理原価も類似団体平均値を下回っていることから、下水道使用料収入で汚水処理費用は賄えていると言える。ただちに使用料を見直す状態ではないが、今後、使用料収入の大幅な増加は見込めない中で、安定した経営を保つためには、維持管理費を一時期に集中させない計画的な維持管理が必要である。企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均値を下回っており、今後も大規模な面整備は見込まれないことから、緩やかに減少していくと想定される。しかし、供用開始から30年以上が経過しており、施設の老朽化に対する維持管理が必要となるため、ストックマネジメントを適正に行い、補助金等を有効活用しながら適切に投資し、経営への影響を最小にするよう努める。水洗化率は90%を超えているが、直近での大きな変化はなく、従来からの未接続世帯の水洗化が進んでいるとは言い難い。高齢者のみの世帯も多いため、各世帯の状況も踏まえつつ、水洗化を促進していく必要があると考える。
老朽化の状況について
昭和54年に公共下水道工事に着手しており、初期に布設されたヒューム管の老朽化が問題となっている。そのため、平成26年度に汚水管の長寿命化計画を策定し、平成28年度においては汚水管の管更生を実施した。順次、計画的な更新工事に着手していく。また、更新工事と平行してストックマネジメント計画策定にも着手し、計画的な維持管理を行っていく必要があると考えている。
全体総括
公共下水道の供用開始から30年以上が経過し、面整備もほぼ完了しつつある。また、下水道計画区域外の宅地開発が増加しており、下水道区域内人口増加の停滞も示唆され、今後、使用料収入の大幅な増加は見込めない。施設の老朽化に伴い、今後は面整備のみならず維持管理へと主眼を移していかなければならない。施設の老朽化に伴う維持管理費の増加を計画的な長寿命化工事等により平準化していく。経営の健全性を保つためには、今後、策定を予定している経営戦略において投資試算・財源試算を十分に精査し、未接続世帯への水洗化促進とストックマネジメントによる適正な維持管理費の見直しを随時行い、公共下水道事業の経営を持続可能なものとしていかなければならない。