経営の健全性・効率性について
萩市の公共下水道事業は、昭和52年に事業着手、昭和59年に供用開始を行い平成27年度末の事業計画区域内の整備率は75.9%、全体計画区域内の整備率は50.1%であり現在も整備を進めているところである。平成28年度の数値については、分流式下水道に係る一般会計からの繰入金の算定基準が変更されたため、企業債の元利償還金及び企業債残高に対して一般会計が負担する額が増加したことに伴い企業債残高対事業規模比率及び汚水処理原価は低下している。収益的収支比率については、平成28年度は平成29年4月からの地方公営企業法の適用に伴い打切り決算を行ったことから、下水道使用料等の収入が未収金となったためため低下している。経費回収率については、90%程度になっているが人口の自然減等の影響により減少傾向となっている。また、単年度収支が赤字であるため、経営改善に向けた取組が必要となっている。企業債残高対事業規模比率については、平均値より低い数値であるが、これは投資規模を縮小して整備を進めているためであり、これにより施設利用率が平均値以下と伸び悩んでいる。汚水処理原価については、平成27年度は類似団体平均値が下がったため数値は平均値を上回ったものの他の年度は類似団体に比べ低い値となっているが、経費回収率及び水洗化率は100%に達しておらず引き続き、水洗化率の向上と適正な使用料設定が課題となっている。
老朽化の状況について
昭和59年に供用開始を行ってから30年を経過していることから毎年計画的に管きょ調査を行っているが、軽微な更生工事で対応できる範囲であるため、更新や改良までは行っていない状況である。処理施設については、過去に補助事業により大規模な更新改良を行っている。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率が100%に達しておらず、安定した事業経営を行うためにも使用料のあり方について継続的に検討をしていく必要がある。そのためには、まず財政マネジメントの向上等を図る必要があるため、平成29年4月から地方公営企業法を適用し公営企業会計として経営を始めるところである。今後はストックマネジメント計画を策定し施設全体を一体的に捉えた計画的・効率的な維持管理及び改築を推進していくと共に、集合処理から個別処理への転換により全体計画区域の見直しを行うなど、より効率的な下水道運営に努めていきたい。なお、使用料を他事業と統一したことから、地方公営企業法の適用に併せ会計処理を一本化した後、一つの下水道事業として経営戦略及び使用料の見直しに取り組んでいく予定である。