経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率,②累積欠損金比率】経常収支比率は100%を上回っており,累積欠損金もないことから,現時点では経営は堅調に推移している。【③流動比率】流動比率は464%であり,類似団体平均値(以下「平均値」という)284%を上回っており,短期的な支払能力を十分確保している。【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率は企業債の発行抑制に努めた結果,減少傾向であり,平均値より低い水準を維持している。【⑤料金回収率】料金回収率は100%を上回っており,給水に係る費用が給水収益で賄われている。【⑥給水原価】給水原価は平均値に比べ高い水準にあるが,これは本水道用水供給事業の給水区域が広範囲であり,管路等の更新費用及び維持管理費用が高いためである。【⑦施設利用率】施設利用率は計画給水人口に対する現在給水人口が低く,水需要が建設当初の計画水量まで伸びていないことから,平均値を下回っている。【⑧有収率】有収率は100%を維持しており,施設の稼働状況が給水収益に反映されている。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は平均値と同様に上昇傾向にあり,かつ他団体に比べ高い水準にあることから,資産の老朽化が進行している。【②管路経年化率,③管路更新率】昭和40~50年代に敷設した管路が多いことから,管路経年化率は平均値を上回っている。また,令和2年度は法定耐用年数を迎えた管路が多く,前年度と比較し,管路経年化率が大幅に上昇している。なお,管路更新率に各年度で変動があるのは,複数年度にわたる工事を行っていることが要因であり,令和元年度は,完成した工事がないため0%となっている。
全体総括
経営の健全性・効率性については,経常収支比率は100%を上回っており,平均値と比較して良好な経営状況となっているが,将来の収支見通しでは人口減少等に伴う給水収益の減少などにより,経営状況は悪化する見込みである。このため,同様の課題を抱える市町水道事業との広域連携による施設規模の最適化や業務の効率化によるコスト縮減など,効率的な運営を進めていく必要がある。また,老朽化の状況については,平均値と比較すると進行しており,着実に更新投資を実施していく必要がある。こうした状況を踏まえ,現在,県内水道事業の統合に賛同する15市町と広島県水道企業団設立準備協議会を設立し,令和5年度から企業団による事業運営開始を目指しており,持続可能な水道事業の構築に向けて,検討を進めている