地域において担っている役割
救急医療など市民に必要とされる医療や、がん、脳卒中、急性心筋梗塞などの高度で専門性の高い医療を安定的に提供するとともに、糖尿病関連疾患をはじめとした予防医療にも力を入れ、他の医療機関等との役割分担や連携を図ることにより、市民の生命と健康を守る。また、第二種感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症等の新興感染症発生時には中核的な役割を担う。さらに、岡山大学等と連携し、地域医療や救急医療に関する人材育成を行い地域の救急医療体制づくりを行う。災害発生時における受傷者の受け入れ体制を整備し、地域災害拠点病院としての役割を果たす。
経営の健全性・効率性について
令和3年度経常収支比率は、107.5%と経常黒字となっている一方で医業収支比率は、94.0%となっている。これは経常黒字の要因が新型コロナウイルス感染症関連の国庫補助金によることを示している。しかしながら医業収支比率も令和3年度からは、回復基調にある。収支改善の要因は、主に入院、外来ともに1人1日当たり収益の増加である。そのため、職員給与費は、効率性が上がっているが、材料費は高額な薬品や医療材料の使用が増加し効率性は低下している。
老朽化の状況について
有形固定資産は、平成27年に新築移転したことから有形固定資産減価償却率は高くない。一方で、器械備品については移転時以降に購入したものの多くが償却され老朽化が進んでおり、器械備品の入れ替えが必要となるが、修繕による使用期間の延長や状況に合わせた入れ替えなど計画的に対応している。また1床当たり有形固定資産は、高度な医療に対応するため、H29年度以降上昇していたが、新型コロナウイルス対応のために器械備品の導入や施設改修をする必要があり、R2年以降大きく上昇している。
全体総括
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、病床利用率が下がり、医業収支比率が大幅に落ち込んだが、令和3年度は引き続き新型コロナウイルス感染症の影響は大きくあるものの病床利用率がやや改善したことと入院、外来ともに1人1日当たり収益が増加したことにより医業収益が大きく改善した。また新型コロナウイルス感染症関連の補助金により令和2年度以降の経常収支比率は大きく向上している。その結果、令和3年度には累積欠損比率は0%となり、第2期中期計画内での経常利益の確保は達成した。今後は、新型コロナウイルス感染症等の新興感染症の診療と通常の診療の両立を図り、患者数・病床利用率の回復と費用の圧縮に努めることで、持続可能な経営基盤の確立を目指す。また、引き続き他病院との連携を密にすることにより、地域医療に貢献する。