経営の状況について
本市の電気事業としては、水力発電である布部発電所(225kw)と伯太発電所(95kw)の2施設を運営しており、平成26年度から公営企業会計(法非適用)による会計処理を行っている。両施設とも昭和29年、昭和34年から発電を行っており、施設修繕を行いながら運営を行ってきている。伯太発電所については、固定価格買取制度(FIT)による運営を行うために改修工事を行い、平成28年3月からFITによる運営を開始したところである。経営の状況の指標である収益的収支比率については、平成28年度で238.7%であり、目標値の100%、平均値の88.8%よりも収益の割合が良い状況である。これは、それ以前の地方債借入額が少なく、地方債償還金が少ないことによる。今後、伯太発電所改修事業による地方債償還金が増加する見込であるので、収支バランスに注視する必要がある。また、営業収支比率も平成28年度が757.0%であり目標値の100%、平均値の269.8%よりも良好な状況であり、平成27年度と比較しても急激に健全な比率となっている。これは、平成28年3月から伯太発電所がFITによる売電を開始したことによるものである。供給原価については、伯太発電所改修事業に関する地方債の償還が始まったことにより10,996.3円となったが、平均値の22,847.9円よりも低い状況である。EBITDAについては、伯太発電所のFITによる売電を開始したことにより収益性が向上し、48,997千円となった。伯太発電所のFITによる売電の開始により経営状況は概ね良好であるが、引き続き費用削減に心がけ健全経営を続けていく必要がある。
経営のリスクについて
設備利用率については、平成28年度で77.3%であった。伯太発電所の改修事業が終了し平成28年3月より発電を再開したことにより設備利用率が増加したものある。修繕費比率は平成28年度で3.6%と前年度より大きく減少している。これは平成27年度にはPCB処理に関する経費が計上されており臨時的な経費があったためである。企業債残高対料金収入比率について、平成28年度は855.3%であった。平成27年度は、伯太発電所改修事業による企業債残高の増額と、改修事業中により料金収入が少なかったことによるもので1,694.1%であったが、平成28年度からは年間通して安定的な料金収入が見込まれている。また、伯太発電所のFITによる売電を開始したことにより、FIT収入割合が67.1%となった。
全体総括
昭和29年及び34年から稼動してきた2つの小水力発電所のみの事業であるが、固定価格買取制度(FIT)による運営に転換するための改修事業を行うものとしている。伯太発電所は平成28年3月からFITによる発電を開始し、安定的に運営を行っている。また、布部発電所についても、現在、改修に向け調査設計等を実施しており、平成33年度からFITによる売電を開始する予定である。今後、老朽化している施設を改修し、全ての発電所をFIT適用することにより安定的な経営を行うことを目指すと共に、平成32年度までには経営戦略を策定し、FIT適用終了後の運営についても検討を進めていく。