経営の状況について
本市では、山宮地場ソーラー、コウノトリ但馬空港地場ソーラー、竹貫地場ソーラーの計3か所の発電所で発電を行い、関西電力株式会社に電力を供給している。【収益的収支比率】・収益的収支比率は、地方債償還金の返還がないため本来ならもっと高い数値になるのだが、売電収入から営業費用を差し引いた余剰金を一般会計に繰出し、環境施策等に活用しているため、毎年、100%を少し上回る数値で推移している。【営業収支比率】・営業収支比率は347.1%で、前年度より51.6ポイント上昇した。これは、竹貫地場ソーラーがH28から本格稼動し、売電収益が増加したためである。H29以降は売電収益に大きな変動が生じないためポイントが上昇することはなくなるが、固定価格買取制度の適用により安定した売電収益が確保されているため、高い数値で推移する見込みである。【供給原価】・供給原価は全国平均値より高い数値になっているが、これは分子である総費用に通常の維持管理費以外に一般会計繰出金(営業収益分)や積立金が含まれているためである。・平成28年度より3ヵ所の発電所全てが通年稼働となったため、年間発電電力量は増加した。しかしながら、大雪の影響により日射量が不足し、施設の維持管理費対する発電量の割合が低下したため、昨年度より数値が増加した。【EBITDA】・本市の電力事業特別会計では、売電収入から必要経費を差し引いた利益額を一般会計に繰り出し、環境施策事業等に活用している。収益力を表すEBITDAの数値はこの繰出金を含めた額を差し引くため本市では本来毎年度0になるはずである。しかし、毎年、差額見込額を繰り出しているため0になっていない。
経営のリスクについて
【設備利用率】・H27年度は、竹貫地場ソーラーが年度途中に稼動したため設備利用率の数値が7.6%に下がったが、H28年度は11.2%に回復した。【修繕費比率】・H27年度までは施設修繕がなかったため修繕比率は0%だった。H28年度は、落雷により故障した但馬空港地場ソーラーの監視カメラを修繕したため4.6%の値となった。【企業債残高対料金収入比率】・事業開始以降、企業債を利用していないため企業債残高対料金収入比率は毎年度0%である。【FIT収入割合】・FIT収入割合は、すべての発電施設が固定価格買取制度の適用を受けているため毎年度100%である。・全収入がFITで占められているため、FIT適用期間が終了する平成44年以降は、収入が大きく変動するリスクを抱えている。
全体総括
・営業開始以来、収益的収支比率及び営業収支比率が常に100%を超え、安定した売電収入の下で健全な事業経営が行われているといえる。・売電収入から通常の維持管理費や基金積立金を差し引いた差額を一般会計に毎年繰出し、太陽光発電システム設置補助金や木質バイオマス機器導入補助金等の財源に充当しており、市の環境施策推進にも大きく寄与している。・経営のリスク対応としては、固定価格買取制度調達期間終了後の事業廃止を視野に入れて、事業開始時から基金を創設し、毎年、定額を積立て、施設の撤去費用の確保に努めている。また、安定的、継続的な売電収入を確保するため、定期的にパワコンや受電設備などを取替え、施設のメンテナンスも常時行っている。・今後についても、電気事業を取り巻く環境の変化に対応できるように、現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略の策定に取り組み、引き続き安定した経営が可能となるよう努めていく。