経営の健全性・効率性について
1収益の確保・水源確保をダム開発に依存したため、資本費が割高となり、全国平均より高い傾向にあるものの、資本費の減少及び給水量の増量等により、令和2年度に平均供給単価を7円/㎥引き下げている。・令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策として各市町に対し給水料金3ヶ月免除(約33億円)を行ったため赤字決算となったが、令和3年度は、①経常収支比率や⑤料金回収率は全国平均を上回っている。②累積欠損金比率もゼロであり、安定した健全経営は確保できている。・水需要を踏まえた施設整備を行うなど、先行投資を抑制している。⑦施設利用率は67%であるが、最大稼働率は94%となっており、責任水量制度の採用などにより100%以上の⑧有収率を確保するなど、着実に収入へと結びつけている。2費用の抑制・計画的な企業債の償還を行うなど、十分な内部留保を確保しつつ、将来的な債務負担は着実に減少している。・③流動比率は350%以上を確保しており、十分な短期支払能力を維持している。長期の債務残高の程度を示す④企業債残高対給水収益比率は、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策による給水料金免除の影響により一時的に上昇したが、令和3年度は減少しており、短期・長期ともに安定的な経営状況である。
老朽化の状況について
・他団体と比べて比較的遅く給水を開始した(昭和54年~)ため、①有形固定資産減価償却率が全国に比べて低く、浄水場など有形固定資産の多くは比較的新しい。・給水開始当初に整備した管路の多くが法定耐用年数を迎えており、②管路経年化率が全国平均を上回っている。・③管路更新率は、計画通りに管路更新を進めており、令和元年度に全国平均を上回った。今後も施設更新時期の分散化を盛り込んだ「アセットマネジメント推進計画(平成29年度改定)」に基づく資産管理により、施設点検の強化を図るとともに施設ごとに使用目標年数を定め、長寿命化や投資コストの平準化を図りつつ、計画的な施設更新を進めている。
全体総括
・今後とも、経営の合理化や効率性に努めるとともに、「アセットマネジメント推進計画」による施設の長寿命化等を図り、経営の健全性を確保していく。・また、人口減少等の課題に対応して、将来にわたり安全・安心な水道水を供給するために、広域化などの手法により、県内の水道事業全体がより一層の経営基盤の強化を図る必要がある。そのために、「兵庫県水道事業のあり方に関する報告書(H30.3)」の提言に基づき用水供給事業者である企業庁は、広域連携の促進のため、受水市町の老朽施設の対応策として、自己水源から県営水道への転換や県・市町の施設の共同化など、受水団体と協議しながら具体的な取組を進めていく中で、健全経営を継続していく。