地域において担っている役割
当市では、地域医療構想を踏まえた「市立柏原病院新改革プラン(平成28年度~平成32年度)」(平成30年度改定)を策定している。その中で当院の役割として、・救急診療の充実により急性期医療を担うこと・地域の周産期・小児医療に貢献すること・緩和ケアを含めたがん診療を担うこと・急性期医療を終えた患者の在宅への橋渡しとなる医療を提供することを掲げている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、DPC対象病院となったことや緩和ケア病棟が通年稼働したこと等により⑤入院患者1人1日当たり収益が平成29年度に比べ上昇したものの、患者数が減少したことにより④病床利用率は低下した。一方費用面では、後発医薬品の積極的な採用や委託業務の仕様の見直し等により経費は減少したが、職員数の増加や退職給付引当金繰入額の増加等により給与費が増加したことで⑦職員給与費対医業収益比率は上昇した。この結果、平成30年度においても純損失が発生し、平成29年度に比べ①経常収支比率は0.1ポイントの改善にとどまり、③累積欠損金比率は4.1ポイント悪化した。
老朽化の状況について
平成17年度に現在の新棟が完成し、比較的新しいことから、有形固定資産全体の減価償却率は全国平均及び類似病院平均値を下回っている。一方で、経営不振による医療機器の更新の遅れなどにより、器械備品の減価償却率は高くなっており、他の有形固定資産と比較して老朽化が進んでいる。
全体総括
現状では病床利用率の低迷等により経常収支の黒字化が達成できておらず、老朽化が進んだ医療機器等の更新を経常収益で賄えない状態となっている。経営状況の改善に向けては、「市立柏原病院新改革プラン」に基づき、救急搬送患者の受入数増加、病診連携強化による紹介患者獲得や緩和ケアを含むがん診療を積極的に行うこと等のこれまでの取組みに加え、かねてより要望のあった地域包括ケア病棟の開設(平成31年4月)及び緩和ケア病棟の増床(令和元年11月)による病床機能の転換を行うことで、医業収益の増収を図るとともに、人件費の抑制等による医業費用の削減を計画・実行し、早期に経常収支の黒字化を図っていく。