地域において担っている役割
当市では、地域医療構想を踏まえた「市立柏原病院新改革プラン(平成28年度~平成32年度)」を平成28年度に策定している。その中で当院の役割として、・救急診療の充実により急性期医療を担うこと・地域の周産期・小児医療に貢献すること・緩和ケアを含めたがん診療を担うことを掲げている。
経営の健全性・効率性について
平成29年度は緩和ケア病棟を開設するなど患者獲得を図ったが、患者数が伸びず病床利用率を低下させる結果となった。そのため医業収支比率・経常収支比率は前年度と比較すると悪化した。類似病院が過去4年間、徐々に病床利用率を上昇させている一方で、当院は病床利用率を悪化させている。費用面については、職員給与費対医業収益比率や材料費対医業収益比率は類似病院を下回っている。しかしながら、職員数の増加等により職員給与費対医業収益比率は前年度より3.4ポイント増加している。一方、収益面ではDPC(包括評価方式)と出来高算定による入院料の算定方式の違いなどもあり、入院患者1人1日当たり収益及び外来患者1人1日当たり収益が全国平均及び類似病院平均を下回っている。
老朽化の状況について
平成17年度に現在の新棟が完成し、比較的新しいことから、有形固定資産全体の減価償却率は全国平均及び類似病院平均を下回っている。一方で、経営不振による医療機器の更新の遅れなどにより、器械備品の減価償却率は高くなっており、他の有形固定資産と比較して老朽化が進んでいる。
全体総括
現状では病床利用率の低迷などにより経常収支の黒字化が達成できておらず、老朽化が進んだ医療機器等の更新を経常収益で賄えない状態となっている。平成28年度に策定した「市立柏原病院新改革プラン(平成28年度~平成32年度)」と現状との間に齟齬が生じているところもあり、改訂を行い、経営改善を図っていく。具体的には、救急搬送患者の受入数増加、病診連携強化による紹介患者獲得や緩和ケアを含むがん診療を積極的に行うこと等、これまでの取組みに加え、新たな患者獲得に向けた病床機能の転換などを検討・実行し、早期に経常収支の黒字化を図っていく。