経営の状況について
【収益的収支比率】総収益、総費用ともに増加傾向にあるほか、企業債償還金が毎年ほぼ一定(平成28年度から減少)であることから、収益的収支比率は増加傾向にあります。総費用の増加要因は、経年劣化による部品交換費や落雷被害による修繕費が増えているためであり、それに伴って増加している総収益の財源は、営業収益だけでは賄えないため、一般会計繰入金を充当しています。【営業収支比率】修繕費の増加に伴い、営業費用も増加傾向にある一方、風力発電の運転状況によって変動する営業収益にバラつきが生じています。固定価格買取制度(以下、「FIT」という。)が適用となった平成25年度は、風力発電の運転状況も良好であったことから、営業収支比率が最も高い指標となりましたが、それでも黒字を示す100%には至っておらず、不足分は一般会計繰入金に依存している状況です。【供給原価】各年度によって供給原価にバラつきが生じていますが、いずれにしても、全国平均と比べて2~10倍近い供給単価で推移していることから、効率的な運転とコスト削減に向けた取組を進めます。【EBITDA】平成25年度を除いた年度でマイナス指標であり、全国平均と比較しても相当の格差があります。一般会計繰入金の依存度が高く、収益性が不安定な状態にあります。
経営のリスクについて
【設備利用率】全国平均は20%に近い指標を示している一方、当該設備利用率は、運転状況が良好であった平成25年度を除き、すべて一桁台の指標を示しています。これは、経年劣化による故障もさることながら、風況の良い冬期間に発生する落雷を起因とした長期停止が原因の一つであることから、部品の早期発注・早期交換といった維持管理体制に努めます。【修繕費比率】全国平均が50%を下回っているのに対し、当該修繕費比率は93%前後で推移しており、非常に高い指標を示しています。修繕に係る経費が営業費用のほとんどを占めていることから、修繕に係る経費の抑制を図るとともに、計画的かつ効率的な修繕に努めます。【企業債残高対料金収入比率】料金収入にバラつきがあるものの、風力発電建設時に借り入れた企業債現在高は、元金償還金及び利子の支払いが進んでいることから、当該指標は改善の方向にあります。なお、企業債の借入は平成29年度末をもって完済します。【FIT収入割合】固定価格買取制度が適用された平成25年度以降は、当該指標は100%となっています。全収入がFITで占められており、平成33年度の1号機から順次、FIT適用期間が終了し、収入が大きく変動するリスクを抱えていることから、早期に抜本的な改革に着手する必要があります。
全体総括
当該事業は、施設の老朽化が進んでいるため、修繕頻度とともに修繕費が増加傾向にあるうえ、落雷被害により長期にわたって運転を停止せざるを得ない状況が生じることから、年々厳しい経営状況を余儀なくされています。今後もさらに厳しい経営状況が見込まれることから、風況等を勘案した計画的かつ効率的な部品交換や修繕を実施するとともに、突発的な故障等に迅速に対応するなど、効率の良い発電事業を実施しながら、FIT適用終了前に、経営戦略の策定や事業の廃止を視野に入れた抜本的な改革が急務です。