経営の状況について
一般会計で行う一般廃棄物処理の余熱利用に係る部分を、発電事業として運営している。従来の発電事業とは異なり、発電の熱源を生み出す焼却炉の整備、燃料を確保するためのごみ収集費用、人件費等、大部分を一般会計で計上していることから、営業収支比率が高いのが特徴である。また、収支のバランスをみながら、営業外費用として焼却炉の整備費用を一般会計へ繰り出してることから、収益的収支比率は概ね100%で推移している。供給原価やEBITDAは、営業外費用に左右され、年度によってバラツキが生じている。
経営のリスクについて
設備利用率は、80%以上で推移しており、平均値よりも高い水準で発電設備を稼動している。平成26年度から平成28年度にかけて、基幹的設備改良工事を行い、発電効率の向上を目指している。しかし、年々発電の燃料となるごみが減少しており、今後の状況によっては安定した発電は厳しい状況となる。修繕費比率が平成28年度に0%となっている理由については、修繕費用の計上方法を精査し、それまで点検整備委託料について、その性質上、発電に係る設備の点検及び整備を行うことから修繕費として計上していたが、点検整備委託料は、あくまでも委託料となるため、修繕費用には計上しないとする検討結果となり、営業費用に占める修繕費用の比率が0%となったものである。FIT収入割合が0%なのは、FIT制度への移行はせずに、RPS法の経過措置の適用を受けているためである。
全体総括
高い営業収支比率かつ100%に近い収益的収支比率から一見すると、発電事業としての健全性は保たれている。しかし、一般廃棄物処理施設の運営と密接しており、一般会計で計上する費用全体を考慮すると、運営は厳しい状況となる。また、社会全体の電力情勢として、安定供給が確保されていることから、電力売払い単価は減少傾向にある。更には、ごみ量も減少傾向にあり、発電量の低下に伴って、今後の営業収益は減少する見込みである。今後、策定を予定している経営戦略の中で、本市の発電事業は一般廃棄物処理の余熱利用として行う発電で、主たる目的は自家消費であり、余剰分のみを売電しているに過ぎないため、事業の存続を含め検討する必要がある。