地域において担っている役割
当院は、青森地域二次医療圏の中で急性期を担う中核病院としての役割を果たすため、一般診療から救急医療、高度医療まで、地域に必要な医療を広く提供している。また、令和2年4月より、新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れる重点医療機関としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
当院の診療状況は、新型コロナウイルス感染症患者の拡大に伴い、感染症病床を12床から14床へ、また、感染拡大時の臨時医療施設を10床設置するなど受入態勢を拡充するとともに、院内感染対策の強化を図りながら、一般病床352床の中で診療を実施してきた。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う受診控えの改善により患者数が増加し、表④許可病床での病床利用率は前年度より増加した。表⑤入院患者1人1日当たりの収益は、手術件数の増等により増加したものの、⑥患者1人1日当たり外来収益は、高額薬剤を使用する化学療法の件数減等の影響により減少している。経営状況は、医業収益の増に伴い表②医業収支比率については前年度より増加し、表①経常収支比率についても、新型コロナウイルス感染症に係る補助金の増等により、黒字となった結果、前年度より増加している。表③累積欠損金比率は、医業収益の増及び黒字に伴う累積欠損金の減少により、前年度より減少している。なお、表⑦職員給与費対医業収益比率は医業収益の増に伴い前年度より減少し、表⑧材料費対医業収益比率はベンチマークシステムを活用した診療材料等のコスト縮減を継続的に取り組んだこと等により、前年度より減少した。
老朽化の状況について
当院の老朽化の状況としては、表②器械備品の減価償却率は、令和元年度に更新した総合医療情報システムの減価償却の影響等により、類似病院の平均値より高い状況にある。表①有形固定資産全体の減価償却率は類似病院の平均値より減価償却率が高い状況にあり、主要な資産である建物が法定耐用年数に近づいてきている。建設投資の状況としては、表③1床当たりの有形固定資産が類似病院の平均値より僅かではあるが低い状況にあり、有形固定資産への投資額が過大となっていない。
全体総括
当院の経営状況は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う受診控えの改善により、患者数が増加し、医業収支比率が前年度を大きく上回ったほか、新型コロナウイルス感染症に係る補助金等増の影響により、経常損益、純損益は黒字となったところである。有形固定資産については、経年劣化が進んでいるものの、施設の不具合等により診療への影響がないよう、引き続き、施設を良好に維持していくため、不具合発生の都度修理を行う事後保全のみならず、不具合が発生する前に計画的に実施する予防保全の視点も加え、施設の適切な維持管理を行うこととしている。当院は、新型コロナウイルス感染症の重点医療機関としての役割を果たしつつ、収入増加・確保対策や経費削減・抑制対策などの取組を着実に進めていく。