地域において担っている役割
道北の基幹病院として,急性期医療の分野で一定の役割を担っているほか,地域で唯一の精神科病床を有する総合病院として,精神疾患を有する身体合併症患者を一手に引き受けている。また,不採算部門の感染症病棟を有しているほか,輪番5病院の1つとして2次救急を実施していることに加え,救急車を受け入れていることに加え,平成26年度から地域のクリニックが当番制で行っていた小児一次救急を当院でセンター化するとともに,平成30年度から市医師会が行っていた夜間急病センターを当院で運営しており,地域住民が24時間医療を受けられる体制を確保している。
経営の健全性・効率性について
①100%を下回る状況が続いたが,救急車の受入数増や精神科領域の施設基準の取得等により,平成30年度は100%を上回っている。②100%未満となっており,医業収益によって医業費用を賄えていない状況であるが,経常収支比率と同様に改善傾向にある。③長期間に渡り純損失を計上したため,多額の累積欠損金が発生しており,平均を大きく上回っている。④医師不足により,整形外科病棟が休床となっていることなどから,平均値を下回っている。⑤脳神経外科等,1人当たりの単価が高い診療科を有してないことなどから,平均を下回っている。⑥類似団体平均を下回って推移している。⑦医業収益が少ないことから,平均より高い比率で推移していたが,平成30年度は給与削減等により平均以下になっている。⑧血液内科等の高額薬品の使用が多いため,平均を上回っている。薬剤・医療材料等の購入方法の見直しや院外処方の徹底などにより,比率は低下傾向にある。
老朽化の状況について
①平均値を上回っており、保有資産の老朽化が類似団体よりも進んでいる状況である。②近年器械備品の更新を抑えていることなどから,平均を上回っており,老朽化が進んでいる状況である。③平成25年度から建物の更新工事を進めていること及び病棟再編により病床削減を行ったことから,平均を上回っている。
全体総括
平成30年度は医業収益の大幅な増加となったが,医師不足等により患者数は減少傾向にあることに加え,消費税の増税及び人事院勧告等に伴う給与費の増などに厳しい状況が続いている。建物の老朽化も進んでおり,今後も補修及び更新工事により,多額の支出が見込まれるところである。厳しい状況が続いているが,医療圏における当院の機能を検討しながら経営改善に向けたあらゆる取組を進め,上川中部二次医療圏における唯一の公立病院として地域医療確保のための役割を果たしていく必要がある。