経営の状況について
平成26年7月から「ぜんつうじ太陽光発電所(本市与北町)」、平成27年6月から「ぜんつうじ大麻太陽光発電所(本市大麻町)」が売電を開始し、平成28年度において年間を通じて初めて2つの発電所が稼働した。この事業では20年間の包括的施設リース契約をリース事業者と締結している。包括的施設リース契約には、施設の建設から完成後の維持管理、修繕、緊急事故対応、遠隔監視等が含まれている。リースで実施することにより、初期投資による多額の予算が不要になり、長期にわたる維持管理に対する経済的、技術的負担がなくなる。よって、本市自治体規模から判断し、予算の平準化が図られ、技術的負担が少ないリース方式での実施となった。収益的収支比率は138.8%(前年度比8.5%増)、営業収支比率は138.7%(前年度比8.7%増)と共に前年度数値を上回り、経営状況は良好である。さらに、供給原価についても28,020.2円と前年度比で1,758.3円減少しており、効率的な運営ができていると考える。これらの要因は、上記のとおり年間を通じて初めて2つの発電所が稼働したことによるものであり、来年度以降も今年度と同水準の経営を継続していく必要がある。この事業において、一般会計からの繰入金はなく、企業債の借り入れもない。売電収入が主な歳入であり、歳入から主な歳出である賃借料(リース料/年は20年間同額)等を差し引き、可能な額を基金に積み立てている。なお、賃借料の内容は、上記の包括的施設リース契約の内容で述べたことと同様で、施設の建設から完成後の維持管理、修繕、緊急事故対応、遠隔監視等である。
経営のリスクについて
設備利用率は14.4%(前年度比2.0%増)であり、全国平均値とほぼ同水準である。経年比較した場合、年々上昇しているため、発電施設の効率的な運用を行えていると考える。この要因は、「1.経営の状況について」で述べたことと同様に年間を通じて初めて2つの発電所が稼働したことによるものである。修繕費比率については、リース事業者に支払う賃借料の中に施設の修繕費が含まれており、修繕費のみの把握はしていない。企業債について、借り入れ実績はなく、今後も借り入れる予定はない。売電収入は天候によって左右されるとはいえ、当初のJISの計算値シミュレーションでは太陽光発電モジュールの経年劣化(0.5%/年)を考えても、今後も十分な収益を見込むことができると想定される。ただし、今後、電力会社による需給バランス維持のための太陽光発電の30日等出力制御が実施されることが想定され、そのことによる売電収入の減収が考えられる。また、全収入がFITで占められており、FIT適用期間終了(H46)後は、収入が大きく変動するリスクを抱えているが、本市ではその時点での事業の廃止を検討している。
全体総括
現在のところ、経営状況は極めて良好である。売電収入も天候によって左右されるとはいえ、当初のJISの計算値シミュレーションと比較して1.14~1.16倍の実績を残している。危惧されるのは、電力会社による需給バランス維持のための太陽光発電の30日等出力制御が実施されることによる売電収入の減収であるが、仮に電力会社が出力制御を想定している5月頃の最大30日分が減収となったとしても、今までの実績から考えると、収支が赤字になることはないと考えられる。また、FIT適用期間終了(H46)後は事業の廃止を検討している。よって、現状の良好な経営を継続していくためにも、平成32年度を目途に経営戦略を策定し、中長期的に安定した経営を行う。