地域において担っている役割
救命救急センターや地域周産期母子医療センター等を併設し、奈良県北部地域において高度急性期医療(三次救急)を提供する基幹病院として、地域住民に必要な医療を提供。平成30年5月の新築移転後は、「救命救急医療」「がん医療」「周産期医療」「小児医療」「精神医療」「糖尿病治療」「災害医療」といった地域医療を支える7つの柱を有し、奈良県立医科大学附属病院と並ぶ奈良県の高度医療の拠点としての機能を果たしている。また、新しい総合医療センターには、医療専門職教育研修センターを併設し、職員への研修のほか、地域貢献として、他の病院や介護福祉施設、診療所等の医療従事者のスキルアップのため、専門的な医療知識や技術等の研修を行う。
経営の健全性・効率性について
ベッドコントロールによる病床稼働率の向上と診療単価の上昇等から医業収益は増加するも、移転に伴い整備した建物および医療機器の減価償却が増嵩し、平成30年度決算は赤字となった。平成30年5月の移転後、入院・外来共に患者数が増加し、令和元年度は増床しつつも高稼働を維持し、かつ入院外来ともに単価が向上し収益が増加している。ただし、移転に伴い整備した施設及び医療機器の更新による減価償却費の増加、働き方改革に伴う医師・看護師等の補助職員の採用による人件費の増加、法人全体での多額の累積欠損金があり、楽観できる状況ではない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率は、類似病院平均値より低い水準にある。平成28年度までは増加傾向にあったが、平成30年5月に移転し、建物だけでなく医療機器を始めとした器械備品の取得により、固定資産の老朽化は一定解消された。今後も必要性や経済性等を考慮の上、計画的な医療機器等の更新を実施する。
全体総括
移転により、上述のとおり令和元年度は収益が増加している一方、移転に伴い整備した施設や医療機器による減価償却費の増加は避けられない。また、働き方改革に伴う医師・看護師等の補助職員の採用により人件費の増大が予想されるため、持続可能な経営を実現するには地域の病院や診療所との連携を進めると共に、材料費の削減など病院独自の更なる経営改善にも取り組む必要がある。