地域において担っている役割
がんに対する高度で先進的な集学的治療を提供するともに、都道府県がん診療拠点病院として、地域がん診療連携拠点病院間の連携強化、拠点病院医師等への研修、診療支援等を行うなど、がん医療の全県の拠点的な機能を担っている。平成30年3月にがんゲノム医療連携病院の指定を受けたことを契機としてゲノム医療・臨床試験センターを設置しがん遺伝子パネル検査を開始するなど、がんゲノム医療体制の整備を進めている。また、難治性がんや再発がん等他の医療機関で対応困難ながんに対する高度専門医療の提供に必要な診療機能やがん治療に関する臨床研究機能の充実に努めている。
経営の健全性・効率性について
1収益の向上平均在院日数の適正化等により入院患者数及び病床利用率は減少したものの、診療機能に見合う収益の確保等により、経常収支比率(101.0%)は100%以上を確保し、医業収支比率(96.7%)とともに平均値を上回っている。2費用の抑制外来化学療法の患者増加に伴う抗がん剤の使用等により材料費が増加したため、材料費対医療収益比率(44.8%)は平均値を上回っている。薬品及び診療材料の定数管理の適正化、使用期限切れ等ロスの縮減、診療材料の院内統一の推進により材料費の抑制に努める必要がある。
老朽化の状況について
昭和59年5月開設から34年余りが経過し、平均値を上回る有形固定資産減価償却率(71.1%)及び機械備品減価償却率(75.0%)が示すとおり、施設・設備機器等の老朽化が進んでいる。このため、修繕・改修費用が増嵩傾向にあり、診療機能に重大な支障を来すことのないよう緊急度を精査しながら計画的な修繕・改修に取り組んでいる。また、診療科の新設や医療機器の増設に伴って診療スペース等の狭隘化が課題となっており、建替整備に向けた検討・準備を進めている。
全体総括
患者1人1日当たり収益は、入院・外来ともに平均値を上回っているが、近年、入院患者数が減少傾向にあることから、地域医療機関訪問による新規患者の確保や、手術予定を勘案したベッドコントロール、内科・外科病棟の相互利用等により病床利用率の向上を図る。また、薬品及び診療材料の適正管理、安価な後発薬品や共同購入品への切替え、コスト意識の醸成による材料費の抑制、施設・設備機器等の計画的な修繕による経費の縮減に努める。今後とも、収益の確保、費用の抑制、施設・設備機器等の老朽化対策、患者サービスや医療の質の向上に努め、病院経営の健全化に取り組む。