経営の健全性・効率性について
1収益の確保・水源確保のためにダムを建設したことにより、給水原価は全国平均より高い傾向にあるものの、固定費の減少及び給水量の維持・増量等を見込むことができたため、平成28年度に平均供給単価を5円/㎥引き下げた。この結果、経常収支比率や料金回収率は前期を下回ったものの、経常収支比率は収支黒字を示す100%以上を確保しており、累積欠損もないなど、安定した健全経営を確保している。・また、水需要を踏まえた施設整備を行うなど、先行投資を抑制している。施設の平均稼働率は65%であるが、最大稼働率は91%となっており、責任水量制度の採用などにより100%以上の有収率を確保するなど、着実に収入へと結びつけている。2費用の抑制・高利率な企業債の繰上償還や、計画的な企業債の償還を行うなど、十分な内部留保を確保しつつ、将来的な債務負担を着実に減少している。平成26年度には公営企業会計制度の改正により、流動比率が大幅に減少したものの、200%近くを確保しており、十分な短期支払能力を維持している。長期の債務残高の程度を示す企業債残高対給水収益比率も着実に減少しており、短期・長期ともに安定的な経営状況である。・営業費用においては、浄水場の運転管理委託等による民間活力の導入や、薬品等の一括購入などにより、費用の抑制に努めている。
老朽化の状況について
・他団体と比べて比較的遅く給水を開始した(昭和54年~)ため、有形固定資産減価償却率が全国に比べて低く、浄水場・管路など有形固定資産の多くは比較的新しい。また猪名川、東播磨、西播磨の3地区を給水開始時に集中的・一体的に整備したため、平成26年に法定耐用年数を迎えた管路が集中的に増加し、管路経年化率が全国平均を上回った。・こうした課題に対応するため、大規模な漏水事故の発生抑制、機器故障による給水停止リスク回避、施設更新時期の分散化を盛り込んだ「アセットマネジメント推進計画」を平成20年に策定し、施設点検の強化を図るとともに施設ごとに使用目標年数を定め、投資コストの平準化を図りつつ、計画的な施設更新を進めている。
全体総括
・今後とも、経営の合理化や効率性に努めるとともに、「アセットマネジメント推進計画」による施設の長寿命化等を図り、経営の健全性を確保していく。・また、人口減少等の課題に対応して、将来にわたり安全・安心な水道水を供給するために、広域化などの手法により、県内の水道事業全体がより一層の経営基盤の強化を図る必要がある。そのためには、末端給水を行っている県内市町水道事業体と、県水への転換に向けた協議を進めるとともに、技術者不足等の市町水道が抱える課題解決に向けた技術支援の仕組づくりなどの検討を進めており、実現可能なものから具現化していく。