経営の健全性・効率性について
短期債務に対する支払能力を示す流動比率は,理想とされる200%を超える221.48%であり,不良債務が発生しているとされる100%を上回っているが,流動資産である現金預金は年々減少傾向にある。平成26年度は制度改正の影響を受けており経年比較による分析は困難だが,現金確保の対策が必要であると考えられる。給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率が403.36%であり,類似団体平均値の301.99%を上回っている。このことから,本市水道事業の企業債残高は比較的規模が大きいと考えられる。本市では,「鈴鹿市水道事業老朽管更新基本計画」に基づき管路の更新を行っていることから,そのために必要な財源確保が課題である。
老朽化の状況について
有形固定資産のうち減価償却がどの程度進んでいるかを示す有形固定資産減価償却率は41.70%であり,類似団体平均値の46.36%を下回っている。数値が100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近いことから,本市の管路更新は類似団体と比較してより適切に行われていると推測される。管路経年化率は数値に誤りがあり,その正誤は以下の通りである。H22H23H24H25H26【誤】1.081.902.272.6311.57【正】5.737.529.2710.5611.61類似団体平均値と同様の経年変化をたどっている。管路更新率は0.88%であり,類似団体平均値の0.72%を上回っていることから,類似団体と比較してより良いペースで更新されていると推測される。
全体総括
経常収支比率,流動比率ともに100%を超えていることから,収支は黒字であり支払能力も問題ないと考えられる。しかし,両数値とも類似団体平均値よりは若干低くなっており,特に流動資産である現金預金が年々減少していることから,現金確保が今後の課題である。類似団体平均値に比して有形固定資産減価償却率が低く,管路更新率が高いことから,本市の管路更新は順調に推移しているものと思われる。