経営の健全性・効率性について
短期債務に対する支払能力を示す流動比率は,理想とされる200%に迫る169.25%であり,不良債務が発生しているとされる100%を上回っているが,流動資産である現金預金は年々減少傾向にある。平成26年度に新会計基準を適用したことにより,平成25年度以前との比較は難しいが,現金確保の対策が必要であると考えられる。給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率が426.06%であり,類似団体平均値の291.78%を上回っている。このことから,本市水道事業の企業債残高は比較的規模が大きいと考えられる。本市では,「鈴鹿市水道事業老朽管更新基本計画」に基づき管路の更新を行っていることから,そのために必要な財源確保が課題である。
老朽化の状況について
有形固定資産のうち減価償却がどの程度進んでいるかを示す有形固定資産減価償却率は42.22%であり,類似団体平均値の48.01%を下回っている。数値が100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近いことから,本市の管路更新は類似団体と比較してより適切に行われていると推測される。管路経年化率は一部の数値に誤りがあり,正しくは以下のとおりであることから,類似団体平均値と同様の経年変化をたどっている。H24H25H269.2710.5611.61管路更新率は0.69%であり,類似団体平均値の0.67%とほぼ同じであることから,類似団体と同程度のペースで更新されていると推測される。
全体総括
経常収支比率,流動比率ともに100%を超えていることから,収支は黒字であり支払能力も問題ないと考えられる。しかし,両数値とも類似団体平均値より低くなっており,特に流動資産である現金預金が年々減少していることから,現金確保が今後の課題である。その課題を解決し,持続可能な経営を目指す中長期計画の必要性から,平成28年度に鈴鹿市上下水道事業経営審議会を設置し,水道事業の効率化,経営の健全化を図ることを目的とする経営戦略の策定に当たっている。本市の管路更新は,類似団体の平均値に比較して有形固定資産減価償却率が低く,管路更新率が同程度であることから,比較的順調に推移しているものと思われる。